神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

――――――…こちらは、ルーデュニア聖王国、イーニシュフェルト魔導学院。



この日学院には、聖魔騎士団から、シュニィ、無闇、エリュティア、そしてジュリスとベリクリーデが来ていた。

それは何故かと言うと…。

「令月さんとすぐりさん、それからナジュさんの居場所が分かりました」

エリュティアが、はっきりとそう告げた。

…そうか。

ようやくだ。ようやくあいつらの居場所を突き止めた。

エリュティアに三人の捜索を依頼して、優先的に探索魔法を使ってもらっていたのだ。

ナジュはともかく、令月とすぐりは、探索魔法で辿れる「痕跡」を隠すのが上手い。

だから、探索魔法で二人の居場所を正確に探るのは、とても大変だったはずだ。

しかも、二人は今、ジャマ王国にいる。

別に喧嘩をしている訳ではないし、アーリヤット皇国やキルディリア魔王国ほど仲が悪い訳ではないが。

それでも、これまで『アメノミコト』関連で色々あったせいで、ルーデュニア聖王国とジャマ王国の仲は険悪だった。

ルーデュニア聖王国にとっては、仮想敵国、って奴だな。

だから、余計に捜索は難しかったことだろう。

それでも、エリュティアは僅かな「痕跡」を辿って、行方不明になっている三人の居場所を捜し当ててくれた。

さすがは、エリュティアの探索魔法だ。

ありがとう。本当にありがとう。

「それで、エリュティア…。あいつらは何処に?」

「ジャマ王国の首都にある…。…この辺りです」

エリュティアはテーブルの上に、ジャマ王国の地図を広げ。

首都にほど近い場所を、人差し指で指差した。

「ここに、『アメノミコト』の本部があると思われます」

「…成程…」

『アメノミコト』の本拠地、その正確な場所は厳重に隠されている。

地下道も数多くあり、そこは迷路のように入り組んでいるそうだ。

さながら、キルディリア魔王国のファニレス王宮のようだな。

いや、下手したら、あの王宮以上に複雑かもしれない。

だからこそ、エリュティアの協力が不可欠だったのだ。

「まさに敵の本拠地…といったところだな。この地形…周囲に森も川もない。身を隠せる場所がない」

「そうですね…。少数精鋭で忍び込み、気づかれないうちに三人を連れ出して、すぐに国境を越える…というやり方が、一番流血が少なくて理想的だと思っていましたが…」

「そりゃ無理だぞ。こんなところにいたら、嫌でも目立っちまう」

無闇、シュニィ、そしてジュリスがそれぞれ言った。

…あぁ、そうだな。

俺とシルナが、キルディリア魔王国の王宮に監禁されていた時。

ジュリスとベリクリーデが、こっそり王宮に潜入して、こっそりと俺達を逃がしてくれた。

出来ればあの時みたいに、誰にも気づかれず、騒ぎを起こさないように、目的を完遂したい。

それが一番理想的。

でも…とてもじゃないが今回は、そんなことは出来そうになかった。

そもそも、『アメノミコト』の本拠地で俺達を待っているのでは、兵士ではなく、暗殺者なのだ。

潜入とか、気配を隠して侵入する、とか。

そういうことは、相手の方が遥かに上手(うわて)のはず。

俺達じゃ、とてもそんな器用なことは出来そうにない。

「…となると、やっぱり流血沙汰は避けられないか」

「…そうかもしれないね」

くそっ…。

戦うことなんて、誰も望んでいないのに。