…八岐の大蛇…と言えば。
「…ヘビじゃないんですか?」
伝説の生き物ですけどね。
頭と尻尾が八つもあるという…。
「そうではなく、そういう名前の組織があるんです」
「あぁ、そうですか…」
「『八岐の大蛇』は、近年、ジャマ王国で台頭してきた傭兵組織です」
傭兵…?
ジャマ王国に、そんなものがあったのか。
「傭兵…ってことは、金で雇われている兵士ですか」
「そうです。『八岐の大蛇』に所属する傭兵は、組織から依頼された仕事を行い、代わりに報酬を受け取って成り立っています」
「成程。…非常に人道的な組織ですね。『アメノミコト』も見習ったらどうですか?」
皮肉満載。
でも、そう言いたくもなりますよ。
『アメノミコト』は、所属する暗殺者の生殺与奪の権を握り、暗殺の仕事を無理矢理行わせ。
失敗すれば当然処分されるし、仮に成功したとしても、充分な報酬も、それどころか休日さえない。
最悪のブラック企業じゃないですか。
しかし、『玉響』さんは僕の皮肉をスルーした。
「『八岐の大蛇』は傭兵組織ではありますが、請け負っている仕事内容は、『アメノミコト』とあまり変わりません。要人の暗殺任務や、他国への潜入捜査…。金次第で、どんな仕事も引き受けます」
「ふーん…」
話が見えてきました。
「つまりあなた方『アメノミコト』は今、組織存続のピンチなんですね」
「そうです」
『玉響』さんは否定しなかった。素直に頷いた。
まぁ、僕にここまで事情を打ち明けている時点で。
隠すつもりはなかったのだろう。一切。
これまでは、何とか理性を保って、クローン製作にも手を出さなかった。
これまでほぼ事業を独占していた『アメノミコト』に、強力なライバルが出現した。
しかもあちらは傭兵組織で、ちゃんと給料も支払われる。
もうそれだけで、『アメノミコト』より優良企業ですね。
これまで一強だった『アメノミコト』に、突然、有力な同業他社が現れ。
ついに、鬼頭夜陰の尻に火がついた。
「あろうことか『八岐の大蛇』は、『アメノミコト』所属の暗殺者を引き抜いて、傭兵として雇っているんです」
「へぇ。良いことじゃないですか」
と、僕は思ったことをそのまま口にした。
本当に良いことですよ。
これまで、恐怖と洗脳によってのみ雇われていた、気の毒な『アメノミコト』の暗殺者が。
『八岐の大蛇』という傭兵組織に拾われ、そこでお給料をもらいながら仕事をするなんて。
誰だって、禿げたおっさん(鬼頭)に偉そうに命令され、任務に失敗すれば殺され、成功しても給料ももらえない、休暇もない、正しく評価もされない最悪な職場より。
ちゃんと自分の価値を評価してくれて、給料も休暇ももらえる、ホワイト企業の『八岐の大蛇』で働きたいと思いますよ。
それでいて、やっている仕事は、どちらの組織も大差ないんでしょう?
仕事内容が同じなら、少しでも福利厚生がしっかりしている会社で働きたい。
そう思うのは当然じゃないですか。人として。
そのまま頑張ってください、『八岐の大蛇』さん。
その調子で『アメノミコト』の暗殺者を、残らず転職させてあげましょうよ。
『アメノミコト』解散。万歳。
そうすれば、もう令月さんとすぐりさんも、『アメノミコト』の影に怯えなくて済む。
僕も、晴れてルーデュニア聖王国に帰れる。
おぉ、誰もが喜ぶ素晴らしい展開じゃないですか。
しかし、『玉響』さんは。
「そうされると困るから、こうしてあなたに協力を持ちかけてるんじゃないですか」
「…」
…折角良い気分になってたのに、興ざめですよ。
「…ヘビじゃないんですか?」
伝説の生き物ですけどね。
頭と尻尾が八つもあるという…。
「そうではなく、そういう名前の組織があるんです」
「あぁ、そうですか…」
「『八岐の大蛇』は、近年、ジャマ王国で台頭してきた傭兵組織です」
傭兵…?
ジャマ王国に、そんなものがあったのか。
「傭兵…ってことは、金で雇われている兵士ですか」
「そうです。『八岐の大蛇』に所属する傭兵は、組織から依頼された仕事を行い、代わりに報酬を受け取って成り立っています」
「成程。…非常に人道的な組織ですね。『アメノミコト』も見習ったらどうですか?」
皮肉満載。
でも、そう言いたくもなりますよ。
『アメノミコト』は、所属する暗殺者の生殺与奪の権を握り、暗殺の仕事を無理矢理行わせ。
失敗すれば当然処分されるし、仮に成功したとしても、充分な報酬も、それどころか休日さえない。
最悪のブラック企業じゃないですか。
しかし、『玉響』さんは僕の皮肉をスルーした。
「『八岐の大蛇』は傭兵組織ではありますが、請け負っている仕事内容は、『アメノミコト』とあまり変わりません。要人の暗殺任務や、他国への潜入捜査…。金次第で、どんな仕事も引き受けます」
「ふーん…」
話が見えてきました。
「つまりあなた方『アメノミコト』は今、組織存続のピンチなんですね」
「そうです」
『玉響』さんは否定しなかった。素直に頷いた。
まぁ、僕にここまで事情を打ち明けている時点で。
隠すつもりはなかったのだろう。一切。
これまでは、何とか理性を保って、クローン製作にも手を出さなかった。
これまでほぼ事業を独占していた『アメノミコト』に、強力なライバルが出現した。
しかもあちらは傭兵組織で、ちゃんと給料も支払われる。
もうそれだけで、『アメノミコト』より優良企業ですね。
これまで一強だった『アメノミコト』に、突然、有力な同業他社が現れ。
ついに、鬼頭夜陰の尻に火がついた。
「あろうことか『八岐の大蛇』は、『アメノミコト』所属の暗殺者を引き抜いて、傭兵として雇っているんです」
「へぇ。良いことじゃないですか」
と、僕は思ったことをそのまま口にした。
本当に良いことですよ。
これまで、恐怖と洗脳によってのみ雇われていた、気の毒な『アメノミコト』の暗殺者が。
『八岐の大蛇』という傭兵組織に拾われ、そこでお給料をもらいながら仕事をするなんて。
誰だって、禿げたおっさん(鬼頭)に偉そうに命令され、任務に失敗すれば殺され、成功しても給料ももらえない、休暇もない、正しく評価もされない最悪な職場より。
ちゃんと自分の価値を評価してくれて、給料も休暇ももらえる、ホワイト企業の『八岐の大蛇』で働きたいと思いますよ。
それでいて、やっている仕事は、どちらの組織も大差ないんでしょう?
仕事内容が同じなら、少しでも福利厚生がしっかりしている会社で働きたい。
そう思うのは当然じゃないですか。人として。
そのまま頑張ってください、『八岐の大蛇』さん。
その調子で『アメノミコト』の暗殺者を、残らず転職させてあげましょうよ。
『アメノミコト』解散。万歳。
そうすれば、もう令月さんとすぐりさんも、『アメノミコト』の影に怯えなくて済む。
僕も、晴れてルーデュニア聖王国に帰れる。
おぉ、誰もが喜ぶ素晴らしい展開じゃないですか。
しかし、『玉響』さんは。
「そうされると困るから、こうしてあなたに協力を持ちかけてるんじゃないですか」
「…」
…折角良い気分になってたのに、興ざめですよ。


