神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

――――――…お間抜けな『八千代』と違って。

俺はこの時点で既に、俺のみならず、『八千代』までもが『アメノミコト』に戻ってきていることに気づいていた。

そして、俺と同じように…『八千代』が任務に失敗したということも。

俺だって失敗しているんだからさー。偉そうには言えないけど。

でも、『八千代』まで何やってんのさ。

君は『アメノミコト』にいた頃から、任務に失敗したことなんてなかったじゃないか。

それなのに…ターゲットを殺せなかった、なんて。

暗殺者失格だよ。

…まー、それは俺もなんだけど。

今まで失敗しちゃ駄目じゃないか。何やってんの…。

…これじゃ、俺も『八千代』も殺されてしまう。

任務に失敗して、『アメノミコト』本部に連れて帰られた俺は。

現在、本部の地下牢に閉じ込められていた。

この建物には、複数の地下牢が存在している。

『八千代』もまた、その中のいずれかの地下牢に閉じ込められてるんだろう。と、思う。

いっそ、同じ牢に入れてくれれば良かったのに。

そーゆー訳にはいかないよね。当然。

問題は、このままじゃ二人共殺されてしまうということ。

そして、もう一つ…。

俺には、どうしても許せないことがあった。

それは…。

「調子はどうですか。『八千歳』先輩…」

「…」

俺が見逃そうとした親子を、横から掠め取るように殺害し。

挙げ句、約束を破って『八千代』まで『アメノミコト』に連れ戻したことを暴露した…。

黒いフードを深々と被った、あの暗殺者である。

その暗殺者が、今はフードを取っ払っていた。

俺がどうしても許せないのは、この男だった。

「…一体、君は誰なんだ」

「あなたなら、よく知っているはずでしょう?…『八千歳』先輩」

俺の目の前にいるのは、『玉響』だった。