反省したか、だって。
僕が正座しているのは、反省しているからじゃなくて。
ただ、この座り方が僕にとって、一番楽だからだよ。
「何をしに来たの?」
僕は静かに顔を上げ、問い返した。
「言わなくても、もう分かっているのでは?」
「…そうだね」
いよいよ処刑の時が来た、ってところかな。
長かったね。
任務に失敗して戻ってきた時から、覚悟はしていたよ。
…いや、死ぬ覚悟なら、もっとずっと前からしてるけどね。
どんな悲惨な死を与えられても、それは僕に相応しい。
「どうぞ、お好きに」
いつ殺されても構わないよ。
死ぬ前に拷問されても良い。
ただ、一つ僕が気になっているのは…。
「もし、役立たずの僕が死んだら」
「はい?」
「今度は、『八千歳』が『アメノミコト』に連れ戻されるのかな」
僕はこの時点でまだ、『八千歳』がとっくに『アメノミコト』に戻ってきていること。
それどころか…『八千歳』もまた、僕と同じように、暗殺任務に失敗し。
これまた僕と同じように、地下牢の何処かに閉じ込められていることを知らなかった。
知っていたら、絶対、こんなに大人しくしてなかったと思う。
僕は未だに、『アメノミコト』の…鬼頭夜陰の手のひらの上だったのだ。
「さぁ。そうだとしたら、どうします?」
「…それはやめて欲しいかな」
結局『八千歳』まで連れ戻されたんじゃ。
僕が一人で、覚悟を決めて『アメノミコト』に戻ってきた意味がない。
「『八千歳』には手を出さないで。彼は光のもとで生きていける人だから」
「おかしなことを言いますね。彼もあなたや僕と同じ、日陰に生きる暗殺者じゃありませんか」
…そうだけど。
それは…確かに、そうなんだけど。
「それに、聞くところによると、彼は『アメノミコト』にいた頃、あなた達はお互いをライバル視して、酷く憎み合っていたそうな」
「…」
「そんな相手を、どうして庇おうなんて思えるんですか?」
…そうだね。
そんなこともあったかもね。
僕は、『八千歳』をライバル視していた。それは確かだ。
彼は間違いなく、僕の一番のライバルだった。
…でも、少なくとも僕は、『八千歳』を憎んではいなかった。
「僕は、『八千歳』を憎んだことは一度もないよ」
「そうですか?でも『八千歳』先輩は、あなたのことを憎んでいたと思いますけど」
「…そうかもね。だけど、それは『八千歳』の意思じゃない」
全部、鬼頭夜陰の策略だった。
『八千歳』をより完璧な暗殺者に育てる為に。
『八千歳』に、僕に対する劣等感を、そして憎しみを植え付けたのだ。
『八千歳』自身の意思じゃない。
そうじゃなかったら、今、僕が最も信頼し、背中を預ける相手になっているはずがない。
「昔のことはどうあれ、今は僕の一番の親友だよ」
「へぇ、親友…」
「うん、親友」
君にはいないかな。…いないかもね。
暗殺者に、友達なんていない。
でも、いると、結構良いものだよ。
その友達の為だと思うと、無限の力が湧いてくるから。
「そうですか…。友達…親友…。…確かに、良いものかもしれませんね」
「え…?」
「分からなくはありませんよ、僕も」
「…」
この返事は、とても意外だった。
『アメノミコト』の暗殺者は、過去の僕もそうだったけど、物凄く視野が狭くて。
仲間同士の馴れ合いなんて、最も嫌っているものの一つだったから。
…まさか、同意してもらえるとは思わなかった。
僕が正座しているのは、反省しているからじゃなくて。
ただ、この座り方が僕にとって、一番楽だからだよ。
「何をしに来たの?」
僕は静かに顔を上げ、問い返した。
「言わなくても、もう分かっているのでは?」
「…そうだね」
いよいよ処刑の時が来た、ってところかな。
長かったね。
任務に失敗して戻ってきた時から、覚悟はしていたよ。
…いや、死ぬ覚悟なら、もっとずっと前からしてるけどね。
どんな悲惨な死を与えられても、それは僕に相応しい。
「どうぞ、お好きに」
いつ殺されても構わないよ。
死ぬ前に拷問されても良い。
ただ、一つ僕が気になっているのは…。
「もし、役立たずの僕が死んだら」
「はい?」
「今度は、『八千歳』が『アメノミコト』に連れ戻されるのかな」
僕はこの時点でまだ、『八千歳』がとっくに『アメノミコト』に戻ってきていること。
それどころか…『八千歳』もまた、僕と同じように、暗殺任務に失敗し。
これまた僕と同じように、地下牢の何処かに閉じ込められていることを知らなかった。
知っていたら、絶対、こんなに大人しくしてなかったと思う。
僕は未だに、『アメノミコト』の…鬼頭夜陰の手のひらの上だったのだ。
「さぁ。そうだとしたら、どうします?」
「…それはやめて欲しいかな」
結局『八千歳』まで連れ戻されたんじゃ。
僕が一人で、覚悟を決めて『アメノミコト』に戻ってきた意味がない。
「『八千歳』には手を出さないで。彼は光のもとで生きていける人だから」
「おかしなことを言いますね。彼もあなたや僕と同じ、日陰に生きる暗殺者じゃありませんか」
…そうだけど。
それは…確かに、そうなんだけど。
「それに、聞くところによると、彼は『アメノミコト』にいた頃、あなた達はお互いをライバル視して、酷く憎み合っていたそうな」
「…」
「そんな相手を、どうして庇おうなんて思えるんですか?」
…そうだね。
そんなこともあったかもね。
僕は、『八千歳』をライバル視していた。それは確かだ。
彼は間違いなく、僕の一番のライバルだった。
…でも、少なくとも僕は、『八千歳』を憎んではいなかった。
「僕は、『八千歳』を憎んだことは一度もないよ」
「そうですか?でも『八千歳』先輩は、あなたのことを憎んでいたと思いますけど」
「…そうかもね。だけど、それは『八千歳』の意思じゃない」
全部、鬼頭夜陰の策略だった。
『八千歳』をより完璧な暗殺者に育てる為に。
『八千歳』に、僕に対する劣等感を、そして憎しみを植え付けたのだ。
『八千歳』自身の意思じゃない。
そうじゃなかったら、今、僕が最も信頼し、背中を預ける相手になっているはずがない。
「昔のことはどうあれ、今は僕の一番の親友だよ」
「へぇ、親友…」
「うん、親友」
君にはいないかな。…いないかもね。
暗殺者に、友達なんていない。
でも、いると、結構良いものだよ。
その友達の為だと思うと、無限の力が湧いてくるから。
「そうですか…。友達…親友…。…確かに、良いものかもしれませんね」
「え…?」
「分からなくはありませんよ、僕も」
「…」
この返事は、とても意外だった。
『アメノミコト』の暗殺者は、過去の僕もそうだったけど、物凄く視野が狭くて。
仲間同士の馴れ合いなんて、最も嫌っているものの一つだったから。
…まさか、同意してもらえるとは思わなかった。


