「では…やはり、断るつもりなんですね」
「はい…。私はそのつもりでいます。ですが…」
…ですが?
フユリ様は、困ったように言った。
ここからが、シルナを呼んだ本当の理由だった。
「先方は、あなたとの対話を望んでいるのです、シルナ学院長」
「えっ…。…私?」
これには、シルナもびっくり。
…何だと?
「はい…。この返事は、私ではなく…シルナ学院長からお聞きしたいと…」
「…私に…」
「…そして同時に、シルナ学院長をルーデュニア聖王国の特使として、キルディリア魔王国に招待したい、と」
「…」
…招待、だって?
フユリ様を差し置いて、シルナを呼びつけるとは…。
…フユリ様は魔導師じゃない。魔導師でない者の意見など、信じないということか?
「…それでフユリ様は、私にキルディリア魔王国に行って欲しいのですか?」
自分が指名されたというのに、意外とシルナは冷静だった。
驚き過ぎると、逆に冷静になるというアレ。
「…危険であることは承知しています。これが罠である可能性も充分にあると」
つーか、俺は罠だと思うけどな。
戦争に協力するか否かの返事なんて、書面で送りつければ良い、
わざわざ、シルナに来て欲しいなんて…。
絶対、シルナ。誘き寄せる罠に決まってる。
良からぬことを企んでるんだ。
…しかし、フユリ様は…。
「ですが…私は、シルナ学院長にキルディリア魔王国に行って欲しいと思います」
「…」
…そうか。…そうだよな。
何もフユリ様が意地悪な訳じゃない。…彼女には、ルーデュニア聖王国を守る義務があるのだから。
「そして出来ることなら、キルディリア女王に『戦争をやめて欲しい』と伝えて欲しいのです。これ以上、罪のないアーリヤット皇国の民を巻き込まないで欲しいと」
フユリ様の切実な想いは、よく分かる。
シルナに危険な目に遭って欲しくない。でも、魔導師でない自分の言葉では、キルディリア女王には届かない。
だが、魔導師の言葉なら…シルナの言葉なら、届くかもしれない。
そして何より、この戦争を起こしたキルディリア女王の真意を確かめて欲しい。そんな思いもあるのだろう。
それは、キルディリア魔王国に招待された、シルナにしか出来ないことだから。
「お願い出来ませんか。…シルナ学院長先生」
フユリ様は、真摯な眼差しをこちらに向けた。
…いくら、フユリ様の頼みでも。
…危険だ。行くべきじゃない。
アーリヤット皇国のことなど、放っておけば良いのだ。
冷たいようだけど、これは俺達には直接関係のない出来事なのだから。
わざわざ首を突っ込んで、とばっちりを受ける必要はない…。
…けれど。
「…分かりました。私がキルディリア魔王国に行きましょう。…それが、ルーデュニア聖王国の為になるなら」
…シルナなら、そう言うと思った。
「はい…。私はそのつもりでいます。ですが…」
…ですが?
フユリ様は、困ったように言った。
ここからが、シルナを呼んだ本当の理由だった。
「先方は、あなたとの対話を望んでいるのです、シルナ学院長」
「えっ…。…私?」
これには、シルナもびっくり。
…何だと?
「はい…。この返事は、私ではなく…シルナ学院長からお聞きしたいと…」
「…私に…」
「…そして同時に、シルナ学院長をルーデュニア聖王国の特使として、キルディリア魔王国に招待したい、と」
「…」
…招待、だって?
フユリ様を差し置いて、シルナを呼びつけるとは…。
…フユリ様は魔導師じゃない。魔導師でない者の意見など、信じないということか?
「…それでフユリ様は、私にキルディリア魔王国に行って欲しいのですか?」
自分が指名されたというのに、意外とシルナは冷静だった。
驚き過ぎると、逆に冷静になるというアレ。
「…危険であることは承知しています。これが罠である可能性も充分にあると」
つーか、俺は罠だと思うけどな。
戦争に協力するか否かの返事なんて、書面で送りつければ良い、
わざわざ、シルナに来て欲しいなんて…。
絶対、シルナ。誘き寄せる罠に決まってる。
良からぬことを企んでるんだ。
…しかし、フユリ様は…。
「ですが…私は、シルナ学院長にキルディリア魔王国に行って欲しいと思います」
「…」
…そうか。…そうだよな。
何もフユリ様が意地悪な訳じゃない。…彼女には、ルーデュニア聖王国を守る義務があるのだから。
「そして出来ることなら、キルディリア女王に『戦争をやめて欲しい』と伝えて欲しいのです。これ以上、罪のないアーリヤット皇国の民を巻き込まないで欲しいと」
フユリ様の切実な想いは、よく分かる。
シルナに危険な目に遭って欲しくない。でも、魔導師でない自分の言葉では、キルディリア女王には届かない。
だが、魔導師の言葉なら…シルナの言葉なら、届くかもしれない。
そして何より、この戦争を起こしたキルディリア女王の真意を確かめて欲しい。そんな思いもあるのだろう。
それは、キルディリア魔王国に招待された、シルナにしか出来ないことだから。
「お願い出来ませんか。…シルナ学院長先生」
フユリ様は、真摯な眼差しをこちらに向けた。
…いくら、フユリ様の頼みでも。
…危険だ。行くべきじゃない。
アーリヤット皇国のことなど、放っておけば良いのだ。
冷たいようだけど、これは俺達には直接関係のない出来事なのだから。
わざわざ首を突っ込んで、とばっちりを受ける必要はない…。
…けれど。
「…分かりました。私がキルディリア魔王国に行きましょう。…それが、ルーデュニア聖王国の為になるなら」
…シルナなら、そう言うと思った。


