神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

…『アメノミコト』頭領、鬼頭夜陰の執務室にて。

先程まで僕を拷問していた拷問官が、早速報告に向かった。

「頭領様。例の読心魔法使いが、ついに屈しました」

「ほう。遅かったな」

『アメノミコト』の拷問は苛烈だ。

これまで、これほど長く耐え続けた者は数えるほどしかいない。

「いくら不死の身であろうと、痛覚は通常の人間と変わらないと聞いたが」

「は…。しかし、頭領様の出した条件を、ようやく呑みました」

「ふん。相変わらず、仲良しこよしで結構なことよ」

自分以外の人間は、鬼頭夜陰にとってコマでしかない。

だから、僕や令月さんやすぐりさんが、どうして仲間の為に自分を犠牲にしようとするのか、彼には分からないのだろう。

悲しい人間だ。…孤独な人間だ。

だけど鬼頭夜陰は、自分が孤独だなんて思っていなかった。

仮に孤独であることを自覚したとして、彼には「仲間」など必要なかった。

必要なのは、便利なコマだけなのだから。

「ともかく、利用出来るものは利用させてもらおう。…『八岐の大蛇(やまたのおろち)』などに、これ以上出しゃばった真似などさせぬわ」

鬼頭夜陰は、憎々しげに呟いた。