神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

…二時間後。

「ふー…」

「もう食べられない〜…」

あぁ…これ以上食べたら、シルナが余計肥え太って。

パンダシルナ改め、ブタシルナに進化してしまう恐れがある。

「羽久が私に…失礼なことを考えてる気がする…」

「気の所為だ」

二人で頑張って食べたけど、食べ切れなかった。

残りは、これ…イレースや天音にもお裾分けしようかな。

お裾分けのお裾分け。

ナジュが大根料理を振る舞ってくれた時も思ったけど。

園芸部の畑で収穫した大根料理は、本当にどれもこれも美味しい。

あれだけ大ぶりの大根だったのに、凄く味がしっかりしてんの。

大根特有の辛みとか全然なくて、甘くて瑞々しい。

煮ても焼いても漬けても、何にでも合う。

これ、スーパーで買ってくる大根より美味しいんじゃね?

凄いな園芸部。本格的過ぎるだろ。

「…美味しかったけど、でも…」

「ん?」

「私達よりも、令月君とすぐり君の方が…食べたかったはずだよね。絶対」

シルナは大根料理の並ぶテーブルを眺めながら、ぽつりとそう呟いた。

…そうだな。

この大根、作ったのはあいつらだもんな。

俺達より先に、作った当人である彼らが、先に食べたかっただろうに。

…令月、すぐり。お前らとツキナが作った大根、凄く美味いぞ。

一生懸命作ったんだろう。なら、ちゃんと食べないと。

俺達だけが食べたんじゃ、意味ないじゃないか。

「…そうだな。収穫、楽しみにしてただろうな」

「ちゃんと帰ってきて、あの子達にも食べてもらわなきゃ」

その通りだ。

ツキナだって、俺達なんかにお裾分けするより。

一緒に汗水垂らして大根を育てた令月とすぐりに、食べて欲しかったはずだ。

…絶対無事に帰ってきて、そしてあの二人にも、収穫した大根を味わってもらうからな。