「ひぇっ」
心臓がアリンコサイズのシルナは、飛び上がって驚いていたが。
あまりに突然のことで、俺も思わずびっくりしてしまった。
な、なんだ?
「だいこんっ…。だいこん〜っ!!」
なおもその生徒は泣きながら、何かを訴えていた。
だ…ダイコン…?
それよりこの女子生徒、物凄く見覚えが…。
「つ…つ、ツキナちゃん!?どうしたの…!?」
シルナは女子生徒に駆け寄って、声をかけた。
そう。ツキナだ。
令月とすぐりが所属している、園芸部の部長…ツキナ・クロストレイ。
そのツキナが、学院長室に飛び込んで泣いている。
…「大根」と言いながら。
「だいこん、だいこん、だいこん〜っ!!」
大根を連発しながら、なおも泣きじゃくっている。
女子生徒が泣いてるんだぞ。こんなにも大声を上げて。
これはただごとではない、それだけはよく分かる。
…分かるんだけど。
「…何?大根って…」
「だいこんーっ!!」
…ごめん。なんか、凄くピンチであろうことは、確かなんだろう。
でも、ひたすら「大根」だけ連呼されても。
俺としては、状況が分からないって言うか…。
…正直言って、意味不明。
大根って、俺達が知ってる、あの野菜の大根のことで合ってるよな?
すりおろしたり、煮たり、焼いたりして食べる、あの白い冬野菜…。
他に「だいこん」なんて言葉、ないよな?…多分。
「うわーん!だいこんーっ!」
「…」
…頼むから。誰か。
ツキナがなんで泣いてるのか、通訳してくれ。
あぁ、こんな時ナジュがいてくれたら…。
だが、無い物ねだりしている場合ではなかった。
「落ち着け、ツキナ。頼むから」
俺は、出来るだけ優しい声でツキナを宥めた。
「大丈夫だ。話を聞いてやるから…。だから、ひとまず泣き止んでくれ」
目の前でこうも、大声あげて泣かれると…俺としても非常に気まずい。
「ほらシルナ、お前も」
「あっ…そ、そうだよね」
シルナにも宥めてもらおうと、俺はシルナを促した。
するとシルナは、今しがた自分が食べようとしていたチョコマドレーヌを、一つ取り。
それを、ツキナに差し出した。
「ほらっ、ツキナちゃん。チョコマドレーヌあげる!」
…お菓子で慰めろ、とは言ってねぇよ。
「ひっく、ひっく…。ま…まどれーぬ…?」
「そうだよ。美味しいよーこれ。大根より美味し、いたっ!」
俺は、シルナの爪先を踏みつけた。
大根に失礼だろ。馬鹿。
「え、えぇと…だ…大根に負けないくらい美味しいよ!」
と、言い直した。
まぁそれなら良いだろう。
「さぁさぁ食べてみて。元気が出るよー」
猫なで声で、シルナがそう言うと。
ツキナは、おもむろにチョコマドレーヌを受け取り。
「…はむ」
食べてる。
よし。それで良い。
もぐもぐもぐ、とチョコマドレーヌを頬張る。
「ど…どう?美味しい?」
「…はい」
「良かった〜」
本当に良かった。
お陰で、ツキナの涙もいつの間にか止まったようだ。
心臓がアリンコサイズのシルナは、飛び上がって驚いていたが。
あまりに突然のことで、俺も思わずびっくりしてしまった。
な、なんだ?
「だいこんっ…。だいこん〜っ!!」
なおもその生徒は泣きながら、何かを訴えていた。
だ…ダイコン…?
それよりこの女子生徒、物凄く見覚えが…。
「つ…つ、ツキナちゃん!?どうしたの…!?」
シルナは女子生徒に駆け寄って、声をかけた。
そう。ツキナだ。
令月とすぐりが所属している、園芸部の部長…ツキナ・クロストレイ。
そのツキナが、学院長室に飛び込んで泣いている。
…「大根」と言いながら。
「だいこん、だいこん、だいこん〜っ!!」
大根を連発しながら、なおも泣きじゃくっている。
女子生徒が泣いてるんだぞ。こんなにも大声を上げて。
これはただごとではない、それだけはよく分かる。
…分かるんだけど。
「…何?大根って…」
「だいこんーっ!!」
…ごめん。なんか、凄くピンチであろうことは、確かなんだろう。
でも、ひたすら「大根」だけ連呼されても。
俺としては、状況が分からないって言うか…。
…正直言って、意味不明。
大根って、俺達が知ってる、あの野菜の大根のことで合ってるよな?
すりおろしたり、煮たり、焼いたりして食べる、あの白い冬野菜…。
他に「だいこん」なんて言葉、ないよな?…多分。
「うわーん!だいこんーっ!」
「…」
…頼むから。誰か。
ツキナがなんで泣いてるのか、通訳してくれ。
あぁ、こんな時ナジュがいてくれたら…。
だが、無い物ねだりしている場合ではなかった。
「落ち着け、ツキナ。頼むから」
俺は、出来るだけ優しい声でツキナを宥めた。
「大丈夫だ。話を聞いてやるから…。だから、ひとまず泣き止んでくれ」
目の前でこうも、大声あげて泣かれると…俺としても非常に気まずい。
「ほらシルナ、お前も」
「あっ…そ、そうだよね」
シルナにも宥めてもらおうと、俺はシルナを促した。
するとシルナは、今しがた自分が食べようとしていたチョコマドレーヌを、一つ取り。
それを、ツキナに差し出した。
「ほらっ、ツキナちゃん。チョコマドレーヌあげる!」
…お菓子で慰めろ、とは言ってねぇよ。
「ひっく、ひっく…。ま…まどれーぬ…?」
「そうだよ。美味しいよーこれ。大根より美味し、いたっ!」
俺は、シルナの爪先を踏みつけた。
大根に失礼だろ。馬鹿。
「え、えぇと…だ…大根に負けないくらい美味しいよ!」
と、言い直した。
まぁそれなら良いだろう。
「さぁさぁ食べてみて。元気が出るよー」
猫なで声で、シルナがそう言うと。
ツキナは、おもむろにチョコマドレーヌを受け取り。
「…はむ」
食べてる。
よし。それで良い。
もぐもぐもぐ、とチョコマドレーヌを頬張る。
「ど…どう?美味しい?」
「…はい」
「良かった〜」
本当に良かった。
お陰で、ツキナの涙もいつの間にか止まったようだ。


