神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

現在、俺は王都セレーナにある、王宮の近くを歩いているところだ。

何故こんなところにいるのかと言うと…それは、王宮に向かう為なんだが。

今朝突然、王宮の使者がイーニシュフェルト魔導学院にやって来て。

急ぎ、フユリ様のところに来て欲しい、とのことだった。

そこで、俺とシルナはこうして、自ら王宮に足を運んでいるという訳だ。

本当は、呼び出しを受けたのはシルナだけだった。
 
でも、俺はシルナを一人で行かせるつもりはないから。

半ば強引に、呼ばれてもないのについてきた。

その判断は正解だった。

見てみろ、このシルナを。

突然王宮に呼ばれたってことは、それなりの緊急事態が起きたということだろう。

それなのに、こいつと来たら。呑気に「ケーキ屋さんが〜」なんて言ってやがる。

危機感が欠如しているにも程がある。

「お前、状況分かってるか?フユリ様からの呼び出しだぞ?女王陛下だぞ?」

「わ、わ、分かってるって」

「分かってないだろ。どうせ、『お話が終わったら、さっきのケーキ屋さんでお土産買って帰ろう』とか思ってる癖に」

「な、何で分かるの羽久っ!?」

ほらな。言わんこっちゃない。

分かるに決まってるだろ。どれだけ長い付き合いだと思ってるんだ。

お前の考えそうなことくらい、お見通しだっての。

「良いか、真剣に。真剣に考えろ」

「わ、分かってるよ。だからそんな怖い顔しないで」

お前に危機感がないからだろ。…ったく。

世の中の情勢が、めまぐるしく変わっているこの状況で。

突然の、フユリ様からの呼び出し…。

…どうしても、嫌な想像をしてしまうじゃないか。

悪い知らせじゃなかったら良いのだが…。