「お願いします…!お願いだから…見逃して…」
「…」
ターゲットの女性は、震えながらも、決して娘を離したりはしなかった。
娘の方も、怯えながら母親にしがみついていた。
相変わらず、その小さな女の子が…ツキナの姿と重なって見えていた。
考える必要なんてなかった。
だって、この人は彼女は暗殺のターゲットなのだから。
俺がすべきことは、ターゲットの命乞いに耳を傾けることではない。
問答無用で、彼女の首を切り落とし。
そして、目撃者である彼女の娘も、ついでに殺す…。
実にシンプルで、俺にとってはとても簡単なことだった。
これまでも、ずっとやってきたことだった。
何の問題もない。暗殺対象の命乞いなんて、聞くに値しない…。
…はずなのに。
「…分かった」
「えっ…?」
俺は、両手から伸ばした糸をしゅるしゅると引っ込めた。
『アメノミコト』の脅威にならないなら、殺す必要はない。
脅威にならない、つまり殺すことに意味はないのだ。
殺す必要のない相手を殺せば、それはただの殺人鬼だ。
俺は暗殺者ではあっても、殺人鬼ではない。
理由なく、人を殺すような真似はしない。
「でも、これから先何があっても、絶対に非合法の仕事には手を出さないで。お願いだから」
そんなことされたら、見逃した意味がない。
その時は、改めてあんたを殺さなきゃいけなくなってしまう。
「は、はい…!もちろんです。約束します…!」
その場しのぎではなく、彼女は本気で、そう答えた。
貧乏でも真っ当な仕事をして、真っ当に娘を育てたい。
その強い意志が、彼女からは感じられた。
良いね。羨ましいよ。
この荒んだ国で、そんな高潔な子育てをする人なんて、滅多にいないよ。
「それと、出来ればこの町からは引っ越した方が良いよ」
「え…?」
「『アメノミコト』に目をつけられてるから。しばらくは田舎にでも引っ込んで、隠れてた方が良い」
「は…はい」
そうすれば、ひとまずは安心だろう。
「それじゃー、俺は帰るよ」
「あ…ありがとうございます。ありがとうございます…!」
やめてよ。俺、君を殺しに来たんだよ?
罵られこそしても、感謝されるいわれは、
「ありが、ぷぇ」
え?
振り向くと、そこには信じられない光景が広がっていた。
「…」
ターゲットの女性は、震えながらも、決して娘を離したりはしなかった。
娘の方も、怯えながら母親にしがみついていた。
相変わらず、その小さな女の子が…ツキナの姿と重なって見えていた。
考える必要なんてなかった。
だって、この人は彼女は暗殺のターゲットなのだから。
俺がすべきことは、ターゲットの命乞いに耳を傾けることではない。
問答無用で、彼女の首を切り落とし。
そして、目撃者である彼女の娘も、ついでに殺す…。
実にシンプルで、俺にとってはとても簡単なことだった。
これまでも、ずっとやってきたことだった。
何の問題もない。暗殺対象の命乞いなんて、聞くに値しない…。
…はずなのに。
「…分かった」
「えっ…?」
俺は、両手から伸ばした糸をしゅるしゅると引っ込めた。
『アメノミコト』の脅威にならないなら、殺す必要はない。
脅威にならない、つまり殺すことに意味はないのだ。
殺す必要のない相手を殺せば、それはただの殺人鬼だ。
俺は暗殺者ではあっても、殺人鬼ではない。
理由なく、人を殺すような真似はしない。
「でも、これから先何があっても、絶対に非合法の仕事には手を出さないで。お願いだから」
そんなことされたら、見逃した意味がない。
その時は、改めてあんたを殺さなきゃいけなくなってしまう。
「は、はい…!もちろんです。約束します…!」
その場しのぎではなく、彼女は本気で、そう答えた。
貧乏でも真っ当な仕事をして、真っ当に娘を育てたい。
その強い意志が、彼女からは感じられた。
良いね。羨ましいよ。
この荒んだ国で、そんな高潔な子育てをする人なんて、滅多にいないよ。
「それと、出来ればこの町からは引っ越した方が良いよ」
「え…?」
「『アメノミコト』に目をつけられてるから。しばらくは田舎にでも引っ込んで、隠れてた方が良い」
「は…はい」
そうすれば、ひとまずは安心だろう。
「それじゃー、俺は帰るよ」
「あ…ありがとうございます。ありがとうございます…!」
やめてよ。俺、君を殺しに来たんだよ?
罵られこそしても、感謝されるいわれは、
「ありが、ぷぇ」
え?
振り向くと、そこには信じられない光景が広がっていた。


