…ついに来たね。死神。
人を殺す仕事を運んでくるんだから、こいつは死神みたいなもんだよ。
手を下してるのは俺なんだけどね。
「…何?」
「このポイントに行け。ここに女が一人で住んでいる」
挨拶も前置きも、何もなく。
ただただビジネスライクに、指示だけを伝えてきた。
手渡してきた紙切れには、とある住所が記載してあった。
「これが今回のターゲットだ」
「…ふーん…」
いつも通りの、シンプルな指示だった。
余計なことは一切言わない。頑張ってとか気を付けてとか、そういう励ましや気遣いも一切ない。
別に期待してる訳じゃないから、良いけど。
だけど…。
「…この人、何をしたの?」
俺は自分でも無意識のままに、そう質問していた。
「なんだと?」
「ターゲットに選ばれるからには、何らかの理由があるんでしょ…。何をしたの?この人」
「お前がそれを知る必要はない」
はぁ?
「興味本位で聞いてるんじゃないよ。仕事の為に聞いてるんだ。情報を知っておけば、いざって時役に立つかもしれない」
「…いざ、という時がお前にあるのか?」
「知らないよ、そんなこと。行ってみないと分からないでしょ」
連絡係は、釈然としないようだった。
実は、自分でもこんな質問をした理由はよく分からなかった。
ターゲットが何故ターゲットにされたのか、その事情なんて…これまでの俺は、気にしたことがなかった。
どんな事情があれど、どんな境遇だろうと、ターゲットに選ばれたからには、俺にとって暗殺対象以外の何者でもない。
余計な情報を知る必要はなかった。…知りたくもなかった。
だけど、今の俺は…何故か、ターゲットが何者なのか、何故ターゲットに選ばれたのか…その理由を知りたかった。
「…薬の密売人だ」
釈然としないながらも、連絡係は俺の質問に答えた。
…薬。
って聞けば、ツキナみたいな純粋な子だったら。
「風邪薬?酔い止め?目薬?」と首を傾げるだろうけど。
『アメノミコト』のような…裏の組織で「薬」と言えば、麻薬のことと相場が決まっている。
「外国から仕入れた薬を、秘密裏に密売しているそうだ。もちろん、自身も常用している」
「…ふーん…」
厄介な麻薬中毒者、ってことね。
『アメノミコト』は何も、そういう違法な薬に反対してる訳じゃない。
むしろ、『アメノミコト』という組織では、武器や薬の売買にも手を出している。
だからこそ、『アメノミコト』を介さず、個人的に薬の売買をされると。
『アメノミコト』が支配している麻薬の相場が変動してしまう。
ジャマ王国の麻薬市場を守る為に、邪魔者は排除しなければならない。
…以前もこうやって、薬関係のターゲットを何人か、殺したことがある。
非常に根が深く、金や利権や欲望が複雑に絡み合った、厄介な問題なのだ。
「情報は、これで良いな?」
「うん…。…まぁ、いーよ」
「起源は二日後だ。それまでにやり遂げろ」
言うべきことだけを、さっさと言って。
無愛想な連絡係は、退室していった。
…。
…さて。
それじゃ、俺も仕事の準備をしないと。
人を殺す仕事を運んでくるんだから、こいつは死神みたいなもんだよ。
手を下してるのは俺なんだけどね。
「…何?」
「このポイントに行け。ここに女が一人で住んでいる」
挨拶も前置きも、何もなく。
ただただビジネスライクに、指示だけを伝えてきた。
手渡してきた紙切れには、とある住所が記載してあった。
「これが今回のターゲットだ」
「…ふーん…」
いつも通りの、シンプルな指示だった。
余計なことは一切言わない。頑張ってとか気を付けてとか、そういう励ましや気遣いも一切ない。
別に期待してる訳じゃないから、良いけど。
だけど…。
「…この人、何をしたの?」
俺は自分でも無意識のままに、そう質問していた。
「なんだと?」
「ターゲットに選ばれるからには、何らかの理由があるんでしょ…。何をしたの?この人」
「お前がそれを知る必要はない」
はぁ?
「興味本位で聞いてるんじゃないよ。仕事の為に聞いてるんだ。情報を知っておけば、いざって時役に立つかもしれない」
「…いざ、という時がお前にあるのか?」
「知らないよ、そんなこと。行ってみないと分からないでしょ」
連絡係は、釈然としないようだった。
実は、自分でもこんな質問をした理由はよく分からなかった。
ターゲットが何故ターゲットにされたのか、その事情なんて…これまでの俺は、気にしたことがなかった。
どんな事情があれど、どんな境遇だろうと、ターゲットに選ばれたからには、俺にとって暗殺対象以外の何者でもない。
余計な情報を知る必要はなかった。…知りたくもなかった。
だけど、今の俺は…何故か、ターゲットが何者なのか、何故ターゲットに選ばれたのか…その理由を知りたかった。
「…薬の密売人だ」
釈然としないながらも、連絡係は俺の質問に答えた。
…薬。
って聞けば、ツキナみたいな純粋な子だったら。
「風邪薬?酔い止め?目薬?」と首を傾げるだろうけど。
『アメノミコト』のような…裏の組織で「薬」と言えば、麻薬のことと相場が決まっている。
「外国から仕入れた薬を、秘密裏に密売しているそうだ。もちろん、自身も常用している」
「…ふーん…」
厄介な麻薬中毒者、ってことね。
『アメノミコト』は何も、そういう違法な薬に反対してる訳じゃない。
むしろ、『アメノミコト』という組織では、武器や薬の売買にも手を出している。
だからこそ、『アメノミコト』を介さず、個人的に薬の売買をされると。
『アメノミコト』が支配している麻薬の相場が変動してしまう。
ジャマ王国の麻薬市場を守る為に、邪魔者は排除しなければならない。
…以前もこうやって、薬関係のターゲットを何人か、殺したことがある。
非常に根が深く、金や利権や欲望が複雑に絡み合った、厄介な問題なのだ。
「情報は、これで良いな?」
「うん…。…まぁ、いーよ」
「起源は二日後だ。それまでにやり遂げろ」
言うべきことだけを、さっさと言って。
無愛想な連絡係は、退室していった。
…。
…さて。
それじゃ、俺も仕事の準備をしないと。


