しかし、鬼頭夜陰の思惑なんて、考えている暇はなかった。
早速、僕は復帰後、最初の任務を任された。
その任務を伝えに来たのは、『アメノミコト』の連絡係だった。
黒子のように顔を隠した彼らは、僕達、実行役の暗殺者に任務の内容や。
また、頭領である鬼頭夜陰からの伝言を伝えるなど、組織内のパイプのような役割を果たしている。
以前は、彼らを見ても何の感情も沸かなかった。
でも今は、僕はその連絡係が、死を運んでくる死神のように見えた。
黒い服を着ているから、余計にそう思うのだろう。
彼らが、僕達暗殺者に殺しの指示を出すのだから…。
「国境沿いにAという村がある。そこに住んでいる親子二人を殺せ」
連絡係は、感情を感じさせない声で、淡々と指示した。
それはいつも通り…『アメノミコト』ではいつも通りの、暗殺の指示だった。
だけど僕はそれを聞いて、無意識に恐怖を感じた。
説明しようのない…ゾッとするような恐怖を。
「期日は明後日まで。今すぐに発ち、実行した後すぐ報告に戻るように、とのご命令だ」
「…そう」
僕が頷くと、連絡係は余計なことは言わず、用件は伝えたとばかりに立ち去ろうとした。
だが、僕にはまだ疑問が残っていた。
「その、ターゲットの親子って」
「…?」
「…一体何をしたの?」
自分で口にしたことではあったが、誰より自分が驚いていた。
…ターゲットが「何故殺されなければならないのか」なんて、気にしたことは一度もなかったのに。
大事なのは、ターゲットの息の根を確実に止めること。そして、それを完全に隠蔽すること。
ターゲットになった理由なんて、暗殺者にとってはどうでも良い。
どうでも良い…ことの、はずなのに。
僕はどうしても、そう聞かずにはいられなかったのだ。自分でも無意識に。
その親子は、本当に殺されなきゃいけないようなこと、したの?
「…何故そんなことを聞く?」
ただの実行役に過ぎない僕が、わざわざ理由を尋ねたからだろう。
連絡係は、不審そうに聞き返してきた。
「別に…ターゲットに関する情報は、少しでも多い方が…仕事を進める上で便利だから」
僕は、誤魔化すようにそう答えた。
「その為に知りたかっただけだよ」
「…」
どうやら、僕のことが疑わしいようだが。
それでも、仕事の為に必要と言ったお陰か。
「…国境沿いで、密輸に手を貸しているそうだ」
と、ターゲットの情報を教えてくれた。
「密輸…?」
「武器の密輸だ」
「…ふーん…」
つまり、商売仇ってことだ。『アメノミコト』は暗殺稼業だけではなく、武器の売買も手掛けている。
この国で行われる、ほぼ全ての武器の売買を請け負っている。
だから、『アメノミコト』を介さず、個人で勝手に売買されると、『アメノミコト』としては商売上がったり、という状況になる。
その為に…商売仇を消そうと…。
この手の暗殺の仕事は、これまでも何度もやったことがある。
何も特別なことはない。いつも通りの仕事…。
…それなのに。
「他に、何か気になることでも?」
「…いや」
僕が首を振ると、連絡係は黙って、足早に立ち去った。
一人残された僕は、早速任務の為に、出立しなければならなかった。
早速、僕は復帰後、最初の任務を任された。
その任務を伝えに来たのは、『アメノミコト』の連絡係だった。
黒子のように顔を隠した彼らは、僕達、実行役の暗殺者に任務の内容や。
また、頭領である鬼頭夜陰からの伝言を伝えるなど、組織内のパイプのような役割を果たしている。
以前は、彼らを見ても何の感情も沸かなかった。
でも今は、僕はその連絡係が、死を運んでくる死神のように見えた。
黒い服を着ているから、余計にそう思うのだろう。
彼らが、僕達暗殺者に殺しの指示を出すのだから…。
「国境沿いにAという村がある。そこに住んでいる親子二人を殺せ」
連絡係は、感情を感じさせない声で、淡々と指示した。
それはいつも通り…『アメノミコト』ではいつも通りの、暗殺の指示だった。
だけど僕はそれを聞いて、無意識に恐怖を感じた。
説明しようのない…ゾッとするような恐怖を。
「期日は明後日まで。今すぐに発ち、実行した後すぐ報告に戻るように、とのご命令だ」
「…そう」
僕が頷くと、連絡係は余計なことは言わず、用件は伝えたとばかりに立ち去ろうとした。
だが、僕にはまだ疑問が残っていた。
「その、ターゲットの親子って」
「…?」
「…一体何をしたの?」
自分で口にしたことではあったが、誰より自分が驚いていた。
…ターゲットが「何故殺されなければならないのか」なんて、気にしたことは一度もなかったのに。
大事なのは、ターゲットの息の根を確実に止めること。そして、それを完全に隠蔽すること。
ターゲットになった理由なんて、暗殺者にとってはどうでも良い。
どうでも良い…ことの、はずなのに。
僕はどうしても、そう聞かずにはいられなかったのだ。自分でも無意識に。
その親子は、本当に殺されなきゃいけないようなこと、したの?
「…何故そんなことを聞く?」
ただの実行役に過ぎない僕が、わざわざ理由を尋ねたからだろう。
連絡係は、不審そうに聞き返してきた。
「別に…ターゲットに関する情報は、少しでも多い方が…仕事を進める上で便利だから」
僕は、誤魔化すようにそう答えた。
「その為に知りたかっただけだよ」
「…」
どうやら、僕のことが疑わしいようだが。
それでも、仕事の為に必要と言ったお陰か。
「…国境沿いで、密輸に手を貸しているそうだ」
と、ターゲットの情報を教えてくれた。
「密輸…?」
「武器の密輸だ」
「…ふーん…」
つまり、商売仇ってことだ。『アメノミコト』は暗殺稼業だけではなく、武器の売買も手掛けている。
この国で行われる、ほぼ全ての武器の売買を請け負っている。
だから、『アメノミコト』を介さず、個人で勝手に売買されると、『アメノミコト』としては商売上がったり、という状況になる。
その為に…商売仇を消そうと…。
この手の暗殺の仕事は、これまでも何度もやったことがある。
何も特別なことはない。いつも通りの仕事…。
…それなのに。
「他に、何か気になることでも?」
「…いや」
僕が首を振ると、連絡係は黙って、足早に立ち去った。
一人残された僕は、早速任務の為に、出立しなければならなかった。


