神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

「ナジュ君の読心魔法は利用価値があるって…僕達を襲ってきた『アメノミコト』の暗殺者が、そう言ってた」

「…」

「だから…多分、ナジュ君の読心魔法を利用する為に…連れて行ったんだと思う」

「…ふん」

と、鼻を鳴らしたのはイレースだった。

「まぁ、読心魔法に関して『だけ』は立派なものですからね」

「…『だけ』って言ってやるなよ…」

他にも良いところいっぱいあるって。

「ナジュ君に…誰かの心を読ませる為に連れて行ったのかな…」

シルナが呟いた。

「分からない…でも、利用価値がある、って言ってたのなら…ナジュの読心魔法が狙いなのは間違いないだろうな」

畜生。

ナジュは、心を読む為の便利グッズじゃかいんだぞ。

利用価値があるとか、ないとか。そんなの関係ないじゃないか。

ナジュはナジュ。それだけだ。

例え読心魔法が使えなくても、不死身じゃなくても…。

それに…。

「読心魔法を利用したいからって…無理矢理連れて行っても仕方ないだろ。ナジュが心を読むことを拒否すれば…」

ナジュだって、『アメノミコト』に利用されたいとは思わないはずだ。

読心魔法を使えと命令されても、それを拒否すればどうってこと、

「その時は、今回と同じことをすれば良いだけだよ」

「マシュリ…?」

それって、どういう意味…。

「今回、天音を脅して拉致したように。今度は別の人間を脅せば良い。例えば…『命令に従って読心魔法を使わなければ、イーニシュフェルト魔導学院を攻撃する』とか」

「…!」

「暗殺者組織なら、それくらいのことは平気でしそうだけど」

…そういうことか。

いかにもやりそうだな。あぁ…やりそうだ。

令月とすぐりだって、似たような脅しを受けたから、『アメノミコト』に戻ったのであって…。

「脅されても拒み続けるほど、割り切った考え方が出来るならともかく…」

「…いや、やるな。ナジュだったら」

「うん。…僕もそう思う」

俺も、天音も頷いた。

ナジュなら、仲間を人質に取られて脅されたら、絶対に言うことを聞く。

仲間を危険に晒すくらいなら、自分が利用された方がマシ。

ナジュだったら…きっと、いや絶対、そう思うはずだ。

馬鹿な奴だよ。

俺達のことなんて、売ってしまっても構わないのに…。

しかもあいつは、仲間のことは大切にする癖に、自分の身は平気で蔑ろにするから。

俺達を守る必要はない。

自分の身を最優先して欲しい…。そう伝えたかった。

だけど…それを伝える為の手段は、俺達にはなかった。

…ナジュ。

令月達に続いて…お前までいなくなるなんて。

そんなこと…絶対、絶対許さないからな。