神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

…それにしても。

「心配だから、やっぱり迎えに…」

と、俺が言いかけたその時。

「来たよー」

「うわっ!」

学院長室の扉が開いて。

ベリクリーデが、元気よく入ってきた。

び、びっくりした。

「ベリクリーデ…!?何でここに、」

「連れてきたよ」

「連れてきたって、誰…って、天音!?」

「…悪い、ちょっとソファ借りて良いか」

ベリクリーデの後ろから、天音を背負ったジュリスが入ってきた。

背負われた天音はぐったりしていて、しかも顔が青くなっていた。

「シルナ、お前ちょっとどけ!」

「ぴゃっ」

「ジュリス、天音をここに…!」

俺はシルナを蹴っ飛ばして立たせ、ソファを空けて天音を横たわらせた。

「…」

天音は苦しそうに目を閉じていた。

…一体何だってこんなことに。

いや、待て。事情を聞く前にまずは。

「シルナ、出番だ」

「ほぇっ?」

「回復魔法だ、早く!」

「あっ、そっか!」

シルナは、慌てて杖を取り出し、天音に駆け寄った。

「待っててね、天音君。今すぐ、治してあげるから…!」

シルナが、回復魔法を使っている間。

俺は、ジュリスの方を向いて尋ねた。

「ジュリス…。…一体何があったんだ?」

「…ごめんな。実は、俺にもよく分からないんだ」

え?

「俺ら、丁度任務帰りで大通りを歩いてたんだが…。そこで、天音が蹲ってるのを見つけてな」

「えっ…?」

「怪我してるのを見つけて、病院に運ぼうとしたんだが…。本人が、どうしても学院に連れて帰ってくれって頼むもんで」

…それで、連れ帰ってきてくれたのか?

「そうか…。何はともあれ…。…天音を連れて来てくれてありがとう」

「気にするな。乗りかかった船だ」

偶然にしても、ジュリス達が通りかかってくれて助かった。

そうじゃなかったら、今頃俺達は、天音の居場所を探して駆け回る羽目になっていただろう。

「それで…一つ質問なんだが、ジュリス」

「何だ?」

「ナジュは?天音と一緒に居なかったのか」

「ナジュ…?いや、見てないが」

…。

…あいつ、一体何処に行ったんだ?