ーーーーー…学院長室での話し合いの後。

僕とナジュ君は、一緒に聖魔騎士団魔導部隊の隊舎に向かった。

令月さん達が、『アメノミコト』に連れ去られたことを、聖魔騎士団のみんなにも報告する為に。

それから…探索魔法使いのエリュティアさんに、二人の正確な行方を探してもらう為に。

突然やって来た僕達に驚きながらも、聖魔騎士団の人々は、事情を話すとすぐに対応してくれた。

特にエリュティアさんは、すぐさま探索魔法を使ってくれた。

やはり、二人は探索魔法で辿れる『痕跡』は、ほとんど残していなかったようだ。

だけど、完全ではない。

魔物ではない、人間である限り、完全に『痕跡』を消すことは出来ない。

かすかな『痕跡』を拾い上げ、繋ぎ合わせ。

エリュティアさんから得られた答えは、やはり。

令月さん、すぐりさん共に…国境を越えて、ジャマ王国に向かったということだった。

予想していたことではあったけど。

はっきりその答えを聞くと、やはりショックは大きかった。

「…そっか…。…命は、無事なんだよね?」

「ジャマ王国に入った後も『痕跡』が消えていないから、生きているとは思うよ」

と、エリュティアさん。

…良かった。

生きていてくれるなら、この際何でも良いよ。

「それから…一つ気になることが」

「え?」

「令月さんとすぐりさん以外に…もう一人分、別の誰かの『痕跡』が残ってるんだ」

「…!」

別の誰か、って、それ…。

「もしかして…令月さんとすぐりさんを連れ去った犯人?」

「恐らくは…」

あの二人を…同時に連れ去ったのだろうか。その人が…。

「おおかた、『アメノミコト』の暗殺者…すぐりさん達の元同僚、ってところですかね」

と、ナジュ君が推測した。

本当に『アメノミコト』の暗殺者なら、僕達の目を盗んで国境を越え、こっそりツキナさんに手紙を託す…なんてことは、難しくも何ともないだろう。

「くれぐれも気を付けて。何かあれば、聖魔騎士団もいつでも力になるから」

「ありがとう、エリュティアさん」

探索魔法を使って、二人の行方を調べてくれただけでも充分だよ。

これで、僕達は迷わずに令月さんとすぐりさんを助けに行ける。