神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

…で、5分後。

そろそろ落ち着いただろうか。

「…シルナ。これ、紙」

「へ?」

「ただのびっくり箱だよ、これ」

「…」

俺が、チョコのびっくり箱を見せてやると。

シルナは、目を真ん丸にして。

「…なぁんだ、もー!びっくりして損しちゃったよ」

…あ、そう。

「って言うか、私のチョコ、何処!?キャラメルトリュフチョコは!?」

「さぁ…」

びっくり箱にすり替えられていて、中に入っていたはずのシルナのチョコが行方不明。

「私のチョコ返して〜っ!」

…また、ナジュにでもこっそり食べられたのだろうか?

でも、ナジュがこんなびっくり箱を作るとは、

「…ん?」

その時。

俺は、びっくり箱の中に折り畳まれた紙を見つけた。

…何だこれ?

どうやら、和紙のようだ。

この紙、何処かで見覚えが…。

…そうだ。

「…これ、令月とすぐりが使ってた紙…」

じゃ、ないか?

何で、こんなところに。

その紙を手に取って、開いてみると。

そこには墨を使って、達筆な文字が書かれていた。

「これって…」

「私のキャラメルトリュフチョコはいずこにーっ!」

「シルナ!そんなことはどうでも良いから」

「そんなこと!?」

そんなことだよ。馬鹿。

「これ、令月とすぐりが書いたものじゃないか?」

「え?」

「ほら、これ」

俺はシルナに、和紙の手紙を見せた。

俺達は同時に、その手紙を覗き込んだ。

そこに書いてあったのは、

「拝啓 学院のみんなへ。

僕と『八千歳』はこれから、学院の外に行きます。

これは僕達自身の意志です。

もし戻らなかったとしても、心配しないでください。そして僕達のことは忘れてください。

それから、くれぐれも身の回りに気をつけて。

追伸 チョコはツキナにあげました。

敬具」

…だってさ。

「…はぁぁっ!?」

俺は、思わず手紙をくしゃっ、と握ってしまった。

ちょっと待て。どういうことだこれは。

「令月、それにすぐりも…何処に行ったんだ!?」

「わ、分かんない。この手紙っていつ?いつ書かれたものなの…!?」

「俺にも分からな、」

と、言いかけたその時。

「入りますよ。学院長」

え?

学院長室の扉が開けられ、そこに誰かが入ってきたと思うと。

そこには、不機嫌な顔をしたイレースがいた。

俺もシルナも、そのイレースに釘付けになった。

「い…イレースちゃん?どうしたの?」

「あなた達、元暗殺者の二人を知りませんか」

…!

「今日から授業だというのに、二人共出席していないんです」

「…」

授業に…出席していない?

…ってことは、この置き手紙。

俺は、シルナと顔を見合わせた。

お互いに、真っ青な表情になっていた。