「鬼頭様からの伝言を伝える」
憎々しげに、俺を睨みながら。
「花曇すぐり、『アメノミコト』に戻ってこい」
「…」
俺は、思わず言葉が出てこなかった。
…。
…。
…はぁ?
「…あの人、痴呆でも入ったの?」
それとも、俺の聞き間違いかなー。
『アメノミコト』に戻ってこい、って言わなかった?今。
「鬼頭様は本気だ」
「トチ狂ったとしか思えないねー。言うに事欠いて、戻ってこいとは」
絶対、何か裏がある。間違いない。
「戻れって言われて、俺が素直に『はいそうですか』って戻るとでも思ってんの?」
「それは私が判断することではない」
まー、そうだね。君はただ伝言を伝えに来ただけだし。
それどころか、『乙夜』のこの腹立たしそうな表情。
伝言を託された以上、一応伝えはしたけど。
『乙夜』の個人的な感情としては、俺に戻ってきて欲しくないことは、一目瞭然。
…一体あの男、何を考えているのか。
「俺を連れ戻してどうするつもり?裏切り者はこうなるんだ、って見せしめに殺すつもり?」
そうとしか考えられないね。
「私の知るところではない」
「あー、そう。だけどね、頭ごなしに『戻れ』って言われても、理由の一つも説明されないんじゃ、とても受け入れられないよ」
まぁ、とはいえ。
「仮に懇切丁寧に説明されたとしても、戻る気ないけどね」
「…何?」
眉を吊り上げる『乙夜』。
「鬼頭様の命令を無視すると?」
「俺、もう暗殺者じゃないし」
命令なんて聞く必要ないから。
俺は俺のやりたいようにやるよ。自分の意志で。
「別にいーよ。理由なんて説明してくれなくても」
どうせ、ろくでもないものだってことは確かだろうし。
裏切り者の俺を、見せしめの為に殺したい。…そんなところだろう。
…え?帰ってきて、また自分の為に働いて欲しいだけじゃないのか、って?
有り得ないね。
俺を駒としてしか見てなかったあの男が、俺の力を必要とするはずがない。
鬼頭にとって、俺の代わりはいくらでもいるはずだ。
みせしめとして殺す以外に、今更、俺の命に価値があるとは思えない。
「何考えてるのか知らないけど、俺は帰るつもりないから。そう伝えておいて」
ついでに、俺のことも『八千代』のことももう忘れてくれ、って言っといて欲しいんだけど。
…しかし。
「お前ならそう答えると思っていた。…だから、もう一つお前に伝えることがある」
「何さ?」
「お前が断れば、黒月令月…『八千代』を連れ戻すことになる、と」
「…何だって?」
自分のことなら、どうとでも笑い飛ばすことが出来る。
だけど、『八千代』の名前を出されたら、黙ってはいられなかった。
「鬼頭様は、『八千代』と『八千歳』、どちらか片方を連れ戻すことを望んでおられる」
「はぁ…!?」
「お前が素直に戻ってくれば、黒月令月からは手を引こう。だが断れば…お前の代わりに、黒月令月が『アメノミコト』に戻ることになる」
…何を、勝手なことを。
そういうことか。
「戻ってこい」なんて、俺が絶対聞くはずない命令を、恥ずかしげもなく伝えたのはこれが理由か。
『八千代』の命を天秤にかければ、俺が聞く耳を持つだろうと。
俺か、それとも『八千代』か。
残れるのはどちらかだけ。
もう片方は、あの忌まわしい『アメノミコト』に戻る。
…あぁ、そう。そういうやり方をするワケね。
『アメノミコト』は、俺がいた頃とまったく変わってないようで、逆に安心したよ。
憎々しげに、俺を睨みながら。
「花曇すぐり、『アメノミコト』に戻ってこい」
「…」
俺は、思わず言葉が出てこなかった。
…。
…。
…はぁ?
「…あの人、痴呆でも入ったの?」
それとも、俺の聞き間違いかなー。
『アメノミコト』に戻ってこい、って言わなかった?今。
「鬼頭様は本気だ」
「トチ狂ったとしか思えないねー。言うに事欠いて、戻ってこいとは」
絶対、何か裏がある。間違いない。
「戻れって言われて、俺が素直に『はいそうですか』って戻るとでも思ってんの?」
「それは私が判断することではない」
まー、そうだね。君はただ伝言を伝えに来ただけだし。
それどころか、『乙夜』のこの腹立たしそうな表情。
伝言を託された以上、一応伝えはしたけど。
『乙夜』の個人的な感情としては、俺に戻ってきて欲しくないことは、一目瞭然。
…一体あの男、何を考えているのか。
「俺を連れ戻してどうするつもり?裏切り者はこうなるんだ、って見せしめに殺すつもり?」
そうとしか考えられないね。
「私の知るところではない」
「あー、そう。だけどね、頭ごなしに『戻れ』って言われても、理由の一つも説明されないんじゃ、とても受け入れられないよ」
まぁ、とはいえ。
「仮に懇切丁寧に説明されたとしても、戻る気ないけどね」
「…何?」
眉を吊り上げる『乙夜』。
「鬼頭様の命令を無視すると?」
「俺、もう暗殺者じゃないし」
命令なんて聞く必要ないから。
俺は俺のやりたいようにやるよ。自分の意志で。
「別にいーよ。理由なんて説明してくれなくても」
どうせ、ろくでもないものだってことは確かだろうし。
裏切り者の俺を、見せしめの為に殺したい。…そんなところだろう。
…え?帰ってきて、また自分の為に働いて欲しいだけじゃないのか、って?
有り得ないね。
俺を駒としてしか見てなかったあの男が、俺の力を必要とするはずがない。
鬼頭にとって、俺の代わりはいくらでもいるはずだ。
みせしめとして殺す以外に、今更、俺の命に価値があるとは思えない。
「何考えてるのか知らないけど、俺は帰るつもりないから。そう伝えておいて」
ついでに、俺のことも『八千代』のことももう忘れてくれ、って言っといて欲しいんだけど。
…しかし。
「お前ならそう答えると思っていた。…だから、もう一つお前に伝えることがある」
「何さ?」
「お前が断れば、黒月令月…『八千代』を連れ戻すことになる、と」
「…何だって?」
自分のことなら、どうとでも笑い飛ばすことが出来る。
だけど、『八千代』の名前を出されたら、黙ってはいられなかった。
「鬼頭様は、『八千代』と『八千歳』、どちらか片方を連れ戻すことを望んでおられる」
「はぁ…!?」
「お前が素直に戻ってくれば、黒月令月からは手を引こう。だが断れば…お前の代わりに、黒月令月が『アメノミコト』に戻ることになる」
…何を、勝手なことを。
そういうことか。
「戻ってこい」なんて、俺が絶対聞くはずない命令を、恥ずかしげもなく伝えたのはこれが理由か。
『八千代』の命を天秤にかければ、俺が聞く耳を持つだろうと。
俺か、それとも『八千代』か。
残れるのはどちらかだけ。
もう片方は、あの忌まわしい『アメノミコト』に戻る。
…あぁ、そう。そういうやり方をするワケね。
『アメノミコト』は、俺がいた頃とまったく変わってないようで、逆に安心したよ。


