神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

で、コロッケ丼と親子丼をそれぞれ、カウンターで受け取って。

さて、今度は座る場所を探そう。

「えぇと、空いてる席、空いてる席…。…おっ、あそこ空いてるぞ」

「そうですね」

今日もお昼時なので、食堂に空いている席はほとんどないのだが。

運良く、二人分空いている席を見つけた。

俺は、早く腰を下ろしたいばかりに。

その席の周囲を、よく見もせずに座ってしまったのである。

どかっ、と座って席を取り。

それじゃ、コロッケ丼を食べようと思ったら…。

「…しょぼーん…」

「…ベリクリーデ、大丈夫か?」

…この声は。

「げっ…」

って、思わず言ってしまった。

人様の顔を見て第一声に「げっ」とは何だよ、と怒られても致し方なかったが。

しかし先方は、そんなことにさえ気づいていなかった。

「ベリクリーデ…。ほら、オムライス食べないのか?」

「…しょぼーん…」

「駄目か…。…じゃあ、こっちの…俺のざるそば食べても良いから」

「…どよーん…」

最早言うまでもないが、ジュリスとベリクリーデである。

名実共に聖魔騎士団の名物コンビとなったこの二人は、またしても食堂で、互いの仲の良さを見せびらかすように。

隣同士に座って、あろうことかジュリスは、大きなスプーンを使って、ベリクリーデに「あーん」してあげていた。

おい。何だよこのリア充共。

ちょっと、誰か厨房からガスバーナー借りてきてくれ。焼くから。

…しかし、今日の二人の様子は、いつもと違っていた。

「…それでも駄目なのか?…これは重症だな…」

「…しゅーん…」

…。

俺は、隣の席のルイーシュに、小声で話しかけた。

「…なんか、ベリクリーデちゃん落ち込んでね?」

「そうみたいですね」

どうやらベリクリーデちゃんは、体調が優れないのか、昼食が進まない様子。

ベリクリーデちゃんのテーブルには、大きなお皿にオムライスが乗っていたが。

そのオムライスは、ほとんど手を付けた形跡がなかった。

ほぼそのまま残っている。勿体ない。

で、ベリクリーデちゃんが食べないもんだから、ジュリスも落ち着いて食べられないらしく。

ジュリスのざるそばも、ほぼ手つかずだった。

「…ほら、これ。卵とろとろだぞ。食べてみろ」

「…しょぼしょぼ…」

ジュリスがいくら、あーんしてオムライスを食べさせようとしても。

ベリクリーデちゃんは元気がなく、食欲も無いようで食べられなかった。

…駄目だ。これは酷いぞ。

「ルイーシュ…。…あれ、どうしたんだと思う?」

「さぁ…?…つわりですかね?」

「ぶはっ…」

とんでもないことを言い出すんじゃない。

それはそれで、平和な世界だな。