イレースは病院着姿で、ベッドに腰掛けていた。
顔色は悪くなさそうだ。
「イレース…もう起きて大丈夫なのか?寝てた方が…」
「もう充分に休みました」
即答。
「とっくに通常業務に戻って良いはずなのに、この過保護保健教師の許可が降りないんです」
と、腹立たしそうに天音を睨んでいた。
ひぇっ、と怯えた声を出す天音。
可哀想に。完全に、蛇に睨まれた蛙じゃん。
「だ、だって…。もう少し、安静にしてなきゃ駄目だよ。そんなにすぐ魔力は回復しないんだから」
「全快でなくても、3〜4割も回復すれば正常に動けます」
「駄目だってば…。魔力が少ない時は、免疫も落ちてるんだから。大事を取らなきゃ」
「ちっ…」
イレースにビビりながらも、医師としてここだけは譲らない、という態度を貫く天音。
さすがだよ。
イレースに舌打ちされてるけど。
「天音…。お前も苦労してるな」
「イレースさんはまだ素直だよ…。ナジュ君だったら、『僕不死身なんで!』とか言って、内臓がはみ出てても動こうとするんだから…」
「そうか…。そういやそうだったな…」
あれに比べりゃ、まだイレースは素直だな。
少なくとも、天音がドクターストップをかけたら、ちゃんと従ってんだもん。
めちゃくちゃ不機嫌ではあるけど。
「ちょっと。なんか僕、とばっちり受けてません?」
うるせぇ。ほんとのことだろ。
…ところで。
「…何だよ、これ」
イレースの、ベッドの傍らに。
親切にも、誰かからお見舞いの品が届けられていたのだが…。
一つは、お面である。
以前も見たことがある、超グロテスクなお面。
鬼みたいな形相で、得体の知れない鳥の羽根や、こちらも正体不明の骨やらがあちこちについている。
「ひぇっ…」
ほら。ビビリのシルナが、またビビっちゃってるじゃないか。
「あ…。それ、令月さんが…昨日、手作りだって持ってきてくれて…」
と、天音が教えてくれた。
…やはり、ヤツか。
ジャマ王国では、病気や怪我で寝込んでいる人には、お見舞いとしてこのお面をプレゼントするんだっけ?
身体の中の病原菌が、このグロテスクなお面に恐れを為して逃げていくように、と。
こんなの見てたら、余計に具合悪くなりそうだけどな。
それから…。
「…こっちの大根は何?」
お面の隣に、何故か大根が3本、置いてあった。
ちゃんと葉っぱまでついている、立派な太い大根である。
その大根3本が、赤いリボンで束ねてあった。
で、何で保健室に大根が?
「これはすぐりさんが…。畑で採れたから、これ食べて元気出してって…」
「…それで何で大根持ってくるんだよ…」
そこは花とか…。花とかお菓子が普通じゃねぇの?
「今、冬ですからね。育つ作物の種類も限られるのでは?」
と、ナジュ。
成程。
それで、花束ならぬ…大根束を作って、イレースに届けてくれたんだな。
…気持ちは分かるけど、そこはやっぱり花にしてくれよ。
せめて調理してから渡してくれ。
ナマの大根、3本ももらったって。消費出来ねぇよ。
「今、冬休みでツキナさんがいないから、調理も出来ないんでしょうね」
「あ、そういうこと…」
「仕方ないですね。ではここで、ハイスペック家事男子の僕が、腕を振るってあげるとしましょう」
え?
ナジュは、スッと立ち上がり。
大根3本を持って、保健室を出ていった。
…あいつ、何処に行ったんだ?
顔色は悪くなさそうだ。
「イレース…もう起きて大丈夫なのか?寝てた方が…」
「もう充分に休みました」
即答。
「とっくに通常業務に戻って良いはずなのに、この過保護保健教師の許可が降りないんです」
と、腹立たしそうに天音を睨んでいた。
ひぇっ、と怯えた声を出す天音。
可哀想に。完全に、蛇に睨まれた蛙じゃん。
「だ、だって…。もう少し、安静にしてなきゃ駄目だよ。そんなにすぐ魔力は回復しないんだから」
「全快でなくても、3〜4割も回復すれば正常に動けます」
「駄目だってば…。魔力が少ない時は、免疫も落ちてるんだから。大事を取らなきゃ」
「ちっ…」
イレースにビビりながらも、医師としてここだけは譲らない、という態度を貫く天音。
さすがだよ。
イレースに舌打ちされてるけど。
「天音…。お前も苦労してるな」
「イレースさんはまだ素直だよ…。ナジュ君だったら、『僕不死身なんで!』とか言って、内臓がはみ出てても動こうとするんだから…」
「そうか…。そういやそうだったな…」
あれに比べりゃ、まだイレースは素直だな。
少なくとも、天音がドクターストップをかけたら、ちゃんと従ってんだもん。
めちゃくちゃ不機嫌ではあるけど。
「ちょっと。なんか僕、とばっちり受けてません?」
うるせぇ。ほんとのことだろ。
…ところで。
「…何だよ、これ」
イレースの、ベッドの傍らに。
親切にも、誰かからお見舞いの品が届けられていたのだが…。
一つは、お面である。
以前も見たことがある、超グロテスクなお面。
鬼みたいな形相で、得体の知れない鳥の羽根や、こちらも正体不明の骨やらがあちこちについている。
「ひぇっ…」
ほら。ビビリのシルナが、またビビっちゃってるじゃないか。
「あ…。それ、令月さんが…昨日、手作りだって持ってきてくれて…」
と、天音が教えてくれた。
…やはり、ヤツか。
ジャマ王国では、病気や怪我で寝込んでいる人には、お見舞いとしてこのお面をプレゼントするんだっけ?
身体の中の病原菌が、このグロテスクなお面に恐れを為して逃げていくように、と。
こんなの見てたら、余計に具合悪くなりそうだけどな。
それから…。
「…こっちの大根は何?」
お面の隣に、何故か大根が3本、置いてあった。
ちゃんと葉っぱまでついている、立派な太い大根である。
その大根3本が、赤いリボンで束ねてあった。
で、何で保健室に大根が?
「これはすぐりさんが…。畑で採れたから、これ食べて元気出してって…」
「…それで何で大根持ってくるんだよ…」
そこは花とか…。花とかお菓子が普通じゃねぇの?
「今、冬ですからね。育つ作物の種類も限られるのでは?」
と、ナジュ。
成程。
それで、花束ならぬ…大根束を作って、イレースに届けてくれたんだな。
…気持ちは分かるけど、そこはやっぱり花にしてくれよ。
せめて調理してから渡してくれ。
ナマの大根、3本ももらったって。消費出来ねぇよ。
「今、冬休みでツキナさんがいないから、調理も出来ないんでしょうね」
「あ、そういうこと…」
「仕方ないですね。ではここで、ハイスペック家事男子の僕が、腕を振るってあげるとしましょう」
え?
ナジュは、スッと立ち上がり。
大根3本を持って、保健室を出ていった。
…あいつ、何処に行ったんだ?


