神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

ーーーーー…一方、その頃。



聖魔騎士団魔導隊舎では。




世間様では、アーリヤット皇国とキルディリア魔王国が戦争を始めて、何だか大変なことになってるらしいが。

しかし、ルーデュニア聖王国に住む俺達には関係のないこと。

アパートのお隣さんの夫婦喧嘩みたいなものだ。

対岸から眺める分には事由だが、俺達には関係ない。

冷たいようだけど、世の中そういうもんだから。

人の不幸はいつだって蜜の味だし、自分は安全圏なところにいて、ポテトチップスでも食べながら眺めていたい。

そういう生き物だからさ。人間って。

…とはいえさすがに、今回は夫婦喧嘩とは訳が違うからな。

コーラとポテチ片手に眺めてる、って訳にはいかん。

これから世の中の情勢がどう変わっていくのか知らないが、とにかく、ルーデュニア聖王国に飛び火しないならそれで良し。

「…それより俺は、今日の食堂の日替わり定食の方が気になるな」

「それよりって何ですか」

「今日のメニュー、何だと思う?」

と、俺は隣を歩いていたルイーシュに尋ねた。

今から俺達、昼飯を食べる為に食堂に行くのだ。

「そうですね…。…今日こそ、唐揚げ定食だと良いですね」

「おぉー、美味そう」

「カリッ。じゅわ〜」

「おいやめろって。飯テロやめろ」

ルイーシュが余計なこと言うもんだから。

もう、口の中が唐揚げ一色。

これで今日のメニューが唐揚げじゃなかったら、どうしてくれるんだ。

いざ、食堂に到着。

「さぁ、ルイーシュ。今日の日替わり定食のメニューは…」

「あー…。…今日はカレイの煮付け定食だそうです」

「…ジーザスッ…!」

俺は、思わずその場に膝をついてしまった。

残酷だよ世の中は。何でこんな冷たいことをするんだ。

俺に恨みでもあるのか?

「カレイの煮付けに対する風評被害ですね」

「違う。カレイの煮付けは何も悪くない…」

美味いよ?カレイの煮付けも。お袋の味って感じで。

いや、俺お袋の味覚えてないけども。

こういうザ・和食ってさ、たまに無償に食べたくなるよな。

…でも、今日は違う。

俺は今日、完全に…唐揚げの気分だった。

「畜生…。何でこんな目に…」

「で、今日何食べます?キュレムさん」

「そうだな…。…じゃあ、今日は冷やし中華で」

「分かりました。それじゃコロッケ丼にしますね」

おい、人の話を聞けよ。

「で、俺は親子丼で」

止める間もなく、ルイーシュは食券を購入。

コロッケ丼の食券を、こちらに手渡した。

…あぁ、もう。

…良いや。もう、コロッケ丼でも。