ーーーーークロティルダという、何やらベリクリーデと知り合いらしい天使のお陰で。

イーニシュフェルト魔導学院を襲った危機は、ひとまず脱した。

今後どうなるかは分からない。警戒は緩めていない。

あの気位の高いイシュメル女王のこと。一度の失敗では、簡単には諦めないだろう。それも分かっている。

だが、一度あれだけ派手に奇襲に失敗していたら、しばらくは手出ししないはずだ。

だから今は、俺達に与えられた束の間の、大切な平穏を毎日、噛み締めるように生きている。






…キルディリア魔王国軍の襲撃から、一週間が経った頃。

俺とシルナは、医務室を訪ねた。

イレースの見舞いの為である。