神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

いきなり。突然。空から舞い降りてきた。

だ…誰?

まさか、敵…!?

かと、思ったが。

「はぁ、はぁ…。死ぬかと思った…」

「えっ…じゅ、ジュリスさん…!?」

その青年が、片腕にジュリスさんを抱えていた。

何故かジュリスさん、凄くぐったりしている。

そして、もう片方の手には。

「やっほー」

ひらひら、と手を振るベリクリーデさん。

ど…。

何がどうなってるの?

頭の中がパニック状態。

この人、敵?それとも味方なの?

このシチュエーションで僕の前に突然現れるんだから、普通に考えたら敵だ。

きっとこの青年もきっと、キルディリア魔王国軍の魔導師なんだろう。

でも、この人、ジュリスさんとベリクリーデさんを抱えている。

どういうこと?ジュリスさんとベリクリーデさんは、今、キルディリア魔王国に行ってるって。羽久さんが言ってた。

キルディリア魔王国に囚われていた羽久さんと学院長先生を、ジュリスさん達が逃がしてくれたって。

その二人が今ここにいるってことは、じゃあ、二人も捕まって…連れてこられたってこと?

でも、捕まってるにしては、ジュリスさんはくたびれてるみたいだけど…。…ベリクリーデさんは、何故か楽しそうだし。

捕まってる訳じゃないの…?

あ、駄目だ。考え過ぎて頭がぐるぐるしてきた。

「な…ナジュ君」

困り果てた僕は、隣にいたナジュ君に助けを求めた。

「どういうことなのか…。解説してくれないかな…」

「え、僕ですか?…それは別に良いんですけど、この人心が見えないんですよね」

えっ?

「僕の読心魔法が通じない…ってことは、どうやら人間じゃないみたいですね」

「…!?」

「その通りだ。貴様、目敏いな」

と、その青年がこちらを振り向いて言った。

「に、人間じゃない…?ってことは、この人も魔物…?」

マシュリさんみたいな?

魔物には読心魔法が通じないって、ナジュ君が言ってたから…。

しかし。

「俺は魔物ではない」

「…え…。じゃあ…」

「俺の正体など、どうでも良いことだ」

その人は、僕とナジュ君から目を逸らした。

「それよりも、今はこの場を切り抜ける」

そう言って。

彼は、ジュリスさんとベリクリーデさんを地面に降ろし。

代わりに、神々しい銀色の蛇腹剣を召喚した。

い、一体何処から?

「クロッティ、頑張れ〜」

ベリクリーデさんが応援していた。

く、クロッティ?

「…退いてもらうぞ。人間」

背中に、大きな翼を広げて。

銀色の蛇腹剣が、キルディリア魔王国軍の真ん中に炸裂した。