神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

それなのに。

「駄目だよ、ナジュ君っ…!あれは…!あの力は…!」

またナジュ君が傷ついてしまう。

あんな辛い思いを、また…!

それに、あの力は長くは持たない。

あまりに身体に負担がかかる為、長くは続けられないのだ。

あれを使ったからって、確実にこの場を切り抜けられる保証は…。

「…分かってますよ。でも、今他に方法があります?」

「っ…」

僕の心を読んだナジュ君が、冷静にそう切り返してきた。

「そ、それは…。でも…二人で協力すれば…」

「そうですね。天音さんがトゥルーフォームを解放すれば、良い勝負が出来るかもしれませんが…。…さすがに、この物量差は覆せませんよ」

「…」

言い返せなかった。

僕もナジュ君も、大人数相手の敵と戦うのは得意ではない。

個人戦なら負けないけど、敵魔導師が束になってかかってきたら、そう長くは持たないだろう。

ナジュ君はそのことを分かっている。

僕だって、ナジュ君が正しいことを言っているのは分かっている。

…でも…。

「僕が時間を稼ぎます。イレースさんを連れて、校舎の中に逃げてください。それから、学院長達と合流を」

「だけどっ…!」

「…大丈夫ですよ。どうせ僕は死にませんから」

そういう問題じゃないでしょ。

分かってるよ。ナジュ君が正しいこと言ってるって。

でも、それで納得出来るはずがない。

「頼みましたよ、天音さん」

「…っ、駄目だよ…!ナジュ君、やっぱり僕も一緒に戦う!」

ナジュ君を置いていくなんてこと、僕には出来ない。

君が傷つくって分かってて、見過ごせるはずがないじゃないか。

「天音さん…!あなた、意外に聞き分けが悪いですね」

「悪いよ…!僕はナジュ君を一人にはできな、」

と、言いかけた時。

敵上級魔導師の一斉攻撃が始まった。

「くっ…!」

「…問答してる余裕は無さそうですね」

えっ?

「行ってください」

ナジュ君は、既に覚悟を決めていた。

その身に、リリスさんの力を宿そうとしていた。

だ…駄目だ。ナジュ君にあんなことはもうさせたくないって…させないって、誓ったのに…!

「待って…!ナジュ君、だめ、」





「その必要はない」


目の前に、白い光を纏った背の高い青年が現れた。

…えっ?