こんな残酷な選択があろうか。
誰よりも仲間を想うシルナに…「仲間を助けたいなら投降しろ」と脅すなんて。
自分が断れば、仲間達はますます窮地に陥る。
それを助けたいなら、シルナは自分の身をキルディリア魔王国に捧げるしかない…。
…駄目だ。そんなこと、絶対に駄目だ。
「…私が首を縦に振れば、侵攻はやめてくれるんだね?」
「勿論じゃ。すぐに手を引こうぞ」
「っ、駄目だ、シルナ…!」
そんな奴の、口車に乗る必要はない。
それに、シルナが投降したからって、侵攻をやめてくれる保証は何処にも…!
「おぬしは黙っておれ」
「っ…!」
イシュメル女王は、冷たい目でこちらを睨んだ。
「おぬしには聞いておらん。これはわらわと、聖賢者殿の取引じゃ」
「…シルナの…問題なら、俺の問題でもあるんだよ…!」
「ふん。半端者な神の器が、生意気なことを」
「…!」
…どうして、そのことを。
「羽久は半端者じゃないよ」
シルナは静かに、しかしきっぱりと、それだけは否定した。
「羽久は私の一番大切な宝物で、親友なんだ。悪く言わないで」
「ほう、そうか。それは悪いことを言ったの」
イシュメル女王は打って変わって、笑顔でそう答えた。
「いずれにせよ、二人揃って我が国に移り住んで良いぞ。魔導師ならば誰でも歓迎しよう」
誰が、あんな国に。
魔導師以外はお断り、って言ってるようなもんじゃないか。
そんな、平気で人を差別するような国、頼まれたって絶対住みたくない。
だけど…今の俺達に与えられた選択肢は、あまり多くはなかった。
仲間を…実質、人質に取られている状況では。
「さぁ、わらわの手を取るのじゃ。おぬしの大切な…仲間、とやらの為に」
と、イシュメル女王は不敵に微笑んだ。
「…」
シルナは黙って、少し考え。
「…私が投降したら、仲間達を助けてくれるんだね。そう約束してくれるね?」
再度、一番大切なことを念押しした。
「あぁ、勿論じゃ。神々に誓おうぞ」
そんなものに誓われたって、全然説得力がない。
だけど…今はその口約束を信じるしか無かった。
「…分かった。投降する」
「…っ、シルナ…!」
「大丈夫だよ。…永遠に会えなくなる訳じゃないし、それに羽久が一緒にいてくれるから」
シルナは俺を安心させようと、無理にでも微笑んでみせた。
本当は、誰よりも泣き出したいはずなのに。
「私がいなくても、イレースちゃん達がいてくれれば…イーニシュフェルト魔導学院は守られる。安心して託すことも出来る…」
「だけど…でも、この学院には、お前が…」
「私は失いたくない。失う訳にはいかないんだ。君も、学院も、仲間達も。みんな」
「…」
それらを、全部守る為に。
シルナの大切なものを守る為に、シルナ自身は犠牲になっても構わない、と?
そんな矛盾したことが…。
「だから、これ以上私の大切なものを傷つけないで」
「ふむふむ、良いじゃろう。良い決断じゃ、英断だったぞ聖賢者殿。さすがじゃ」
イシュメル女王は、満足げに頷いた。
…畜生。
こんな小癪な女の…言われるがままになるしかないなんて。
誰よりも仲間を想うシルナに…「仲間を助けたいなら投降しろ」と脅すなんて。
自分が断れば、仲間達はますます窮地に陥る。
それを助けたいなら、シルナは自分の身をキルディリア魔王国に捧げるしかない…。
…駄目だ。そんなこと、絶対に駄目だ。
「…私が首を縦に振れば、侵攻はやめてくれるんだね?」
「勿論じゃ。すぐに手を引こうぞ」
「っ、駄目だ、シルナ…!」
そんな奴の、口車に乗る必要はない。
それに、シルナが投降したからって、侵攻をやめてくれる保証は何処にも…!
「おぬしは黙っておれ」
「っ…!」
イシュメル女王は、冷たい目でこちらを睨んだ。
「おぬしには聞いておらん。これはわらわと、聖賢者殿の取引じゃ」
「…シルナの…問題なら、俺の問題でもあるんだよ…!」
「ふん。半端者な神の器が、生意気なことを」
「…!」
…どうして、そのことを。
「羽久は半端者じゃないよ」
シルナは静かに、しかしきっぱりと、それだけは否定した。
「羽久は私の一番大切な宝物で、親友なんだ。悪く言わないで」
「ほう、そうか。それは悪いことを言ったの」
イシュメル女王は打って変わって、笑顔でそう答えた。
「いずれにせよ、二人揃って我が国に移り住んで良いぞ。魔導師ならば誰でも歓迎しよう」
誰が、あんな国に。
魔導師以外はお断り、って言ってるようなもんじゃないか。
そんな、平気で人を差別するような国、頼まれたって絶対住みたくない。
だけど…今の俺達に与えられた選択肢は、あまり多くはなかった。
仲間を…実質、人質に取られている状況では。
「さぁ、わらわの手を取るのじゃ。おぬしの大切な…仲間、とやらの為に」
と、イシュメル女王は不敵に微笑んだ。
「…」
シルナは黙って、少し考え。
「…私が投降したら、仲間達を助けてくれるんだね。そう約束してくれるね?」
再度、一番大切なことを念押しした。
「あぁ、勿論じゃ。神々に誓おうぞ」
そんなものに誓われたって、全然説得力がない。
だけど…今はその口約束を信じるしか無かった。
「…分かった。投降する」
「…っ、シルナ…!」
「大丈夫だよ。…永遠に会えなくなる訳じゃないし、それに羽久が一緒にいてくれるから」
シルナは俺を安心させようと、無理にでも微笑んでみせた。
本当は、誰よりも泣き出したいはずなのに。
「私がいなくても、イレースちゃん達がいてくれれば…イーニシュフェルト魔導学院は守られる。安心して託すことも出来る…」
「だけど…でも、この学院には、お前が…」
「私は失いたくない。失う訳にはいかないんだ。君も、学院も、仲間達も。みんな」
「…」
それらを、全部守る為に。
シルナの大切なものを守る為に、シルナ自身は犠牲になっても構わない、と?
そんな矛盾したことが…。
「だから、これ以上私の大切なものを傷つけないで」
「ふむふむ、良いじゃろう。良い決断じゃ、英断だったぞ聖賢者殿。さすがじゃ」
イシュメル女王は、満足げに頷いた。
…畜生。
こんな小癪な女の…言われるがままになるしかないなんて。


