神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

…えっ?

のろのろと、顔を上げると。

「っ…!お前…!」

「間に合ったな。…遅くなって悪かった」

俺の目の前に、大きな天使の羽根が広がっていた。

そこにいたのは。

「クロティルダ…!」

銀色の蛇腹剣を持つ、クロティルダだった。

クロティルダが、その剣でケルディーサの斬撃を弾き飛ばしたのだ。

…少しタイミングがズレてたら、俺、死んでたな。

まさに間一髪。

「ジュリス、お待たせー」

そんなクロティルダと一緒に、ひょこっ、とベリクリーデが顔を覗かせた。

…ベリクリーデ…。

良かった…。この寝坊助天使を、起こすことが出来たんだな。

「…!クロティルダ…あなた…」

ケルディーサは、突如として現れたクロティルダに驚いていた。

「どうして…?一体どうやって眠りから覚めたの?」

「…」

クロティルダは答えなかったが。

ケルディーサはハッとして、ベリクリーデを睨んだ。

「成程、そうか…。…あなたの仕業ね」

「うん」

「余計なことを…!」

よく分からんが、ベリクリーデは上手いことやり遂げたんだな。

よくやったベリクリーデ。偉いぞお前は。

しかし、ベリクリーデはいくらケルディーサに睨まれても、全く気にしていないようで。

それよりも。

とてとて、と小走りにこちらに寄ってきて。

「ジュリス、大丈夫?」

心配そうに、こちらに手を差し伸べた。

お、おぉ…?

「ジュリス痛いの?痛い?」

「え?あ、いや…うん、まぁ…痛いけど…」

「痛いの?よしよし」

ベリクリーデは、俺の頭を撫でてきた。何で?

いや、頭は別に痛くないんだけど。

それ以上に…。

「…っ…」

立ち上がろうとしたが、目眩がして、俺は再び膝をついた。

ベリクリーデが、慌ててそんな俺を支えてくれた。情けねぇ。

「ジュリス、大丈夫?」

「あ…あぁ、平気だ…」

「でも、平気そうな顔してないよ」

…そうかもな。

「魔力…ほぼ、使い切ってるから…」

「魔力が足りないの?」

「あぁ…」

「じゃ、あげる」

へ?

顔を上げると、ベリクリーデは、こつん、と自分の額を俺の額に重ね合わさてきた。

ベリクリーデの顔がどアップになって、一瞬固まってしまったが。

次の瞬間、ベリクリーデから俺に、暖かな力が伝わってきた。

途端に、あんなにしんどかった身体が、ふっと楽になった。