神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

「…何処だよ」

「うーん。…うーん…?」

ベリクリーデも分かっていないみたいだ。

「この辺にいるはずなんだけどなー」

「いや、そんなまさか…。何もないじゃないか、ここ」

「変な感じがするなー…」

変な感じ…?またアバウトな説明を…。

…しかし。

「…ん?」

…何だろう。この感じ。

ベリクリーデに「変な感じがする」と言われて、初めて気がついた。

何だか…違和感がある。この空間。

穴が空いた場所に、ここだけ継ぎを当てたような…。

微妙な、空間のズレ。

…まさか、これがベリクリーデの言っていた…。

このことに気づけたのは、ベリクリーデが教えてくれたからであり…そして、俺の長年の直勘だった。

虫の知らせ、って奴なんだろうか。

知らない間に、俺もベリクリーデに毒されてるな。

「ベリクリーデ…。この場所…」

「ジュリス…。…開けられる?」

「…やってみる」

俺は、自分の中に封印していた剣を。

『魔剣ティルフィング』を召喚し、それを両手で構えた。

この場所、このズレた空間を…抉じ開ける。

「行くぞ、『魔剣ティルフィング』。…空間を切り裂け」

振り下ろした『魔剣ティルフィング』が、文字通り空を切った。

その瞬間。

何もなかったはずの空間に、大きな亀裂が出来た。

その亀裂の先に、全く別の異空間が見えた。

…マジかよ。本当にあった。

さながら冥界のようだ。

「よーし、ありがとうジュリス。行ってみよー」

「ちょっ…迂闊に…!」

「えいっ」

ベリクリーデは間抜けな掛け声と共に、時空の裂け目に入り込んだ。

あぁもう、命知らずなんだから。

こうなったら、俺も腹を決めるしかなかった。

ベリクリーデを追って、俺もまた、時空の裂け目に足を踏み入れた。

途端に、眩しいほどの光に包まれた。