ただでさえ…運動不足だもんな、シルナ…。
イレースにいつも「パンダ」と呼ばれているだけのことはある。
「はぁはぁ、羽久が。私に、し、失礼なことをっ、はぁはぁ。考えてる気がする〜っ!!」
「…お前には無理だよ…この重さ…」
俺にだって、多分無理だよ。
いくら火事場の馬鹿力があったとしても。限度ってものはある。
「俺のことは、気にしなくて…良いから。早く…イレース達のところに…」
「そんなこと出来ないよ!」
珍しく、シルナは怒ったような口調で言った。
「羽久を置いていくなんてこと、絶対出来ないから。絶対しないからね!」
…駄々っ子かよ…。
だけど、立場が逆だったら…俺も同じことを言っていたと思う。
「大丈夫だよ、必ず助けるから」
「でも…どうやって…」
「ど、どうしよう。どう…。…あ、そうだ」
?
「羽久、ちょっと動かないでね。えぇと、杖、杖…」
シルナはポケットを探って、愛用の杖を取り出し。
俺に向かって…いや、正しくは、俺の上に倒れている本棚に向かって。
「yravitg」
とある魔法を発動した。
途端に、俺の上に重くのしかかっていた本棚が、羽毛のように軽くなった。
えっ…。
「これで良し!」
シルナは、軽くなった本棚を、スッと退かしてくれた。
ようやく、苦しかった呼吸が少し楽になった。
シルナが何の魔法をかけたのか分かった。
重力魔法だ。
重力魔法で、本棚の重さを鳥の羽根のように軽くして、本棚を退かしてくれたのだ。
「羽久!大丈夫…!?立てる?」
「あ、あぁ…」
俺は、自由になる右手で床に手をつき。
軋む身体を起こし、何とか立ち上がろうとしたのだが…。
「っ…!」
「羽久…!」
左腕が、ズキズキと激しい痛みを発していた。
見ると、肩の付け根の方から、雑巾でも捻ったように変な方向に曲がっていた。
あぁ…成程、痛みはコレのせいか…。
「腕が…羽久…」
「…大丈夫だ。腕以外は何ともないから」
左腕を庇いながら、俺はよろよろと、何とか起き上がった。
さながら、生まれたての子鹿のよう。
シルナに肩を貸してもらいながら、ようやく起き上がることが出来た。
「大丈夫じゃないよ…!ごめんね、私を庇って、こんな怪我を…」
「仕方ないだろ…。気にするな、身体が勝手に動いただけだから…」
俺が庇わなかったら、この怪我をしていたのはシルナだったのだ。
あるいは、もっと酷い怪我をしていたかもしれない。
だったら、俺が痛い思いをするくらい、何でもない。
「すぐに回復魔法をかけてあげるから…!」
「おぉ…。…宜しく」
シルナは杖を手に、俺の負傷した腕に回復魔法をかけようとした。
…しかし、その時。
「お揃いのようじゃな。聖賢者殿。そして羽久・グラスフィアよ」
「…!」
突如として聞こえたその声に、俺とシルナは振り返った。
イレースにいつも「パンダ」と呼ばれているだけのことはある。
「はぁはぁ、羽久が。私に、し、失礼なことをっ、はぁはぁ。考えてる気がする〜っ!!」
「…お前には無理だよ…この重さ…」
俺にだって、多分無理だよ。
いくら火事場の馬鹿力があったとしても。限度ってものはある。
「俺のことは、気にしなくて…良いから。早く…イレース達のところに…」
「そんなこと出来ないよ!」
珍しく、シルナは怒ったような口調で言った。
「羽久を置いていくなんてこと、絶対出来ないから。絶対しないからね!」
…駄々っ子かよ…。
だけど、立場が逆だったら…俺も同じことを言っていたと思う。
「大丈夫だよ、必ず助けるから」
「でも…どうやって…」
「ど、どうしよう。どう…。…あ、そうだ」
?
「羽久、ちょっと動かないでね。えぇと、杖、杖…」
シルナはポケットを探って、愛用の杖を取り出し。
俺に向かって…いや、正しくは、俺の上に倒れている本棚に向かって。
「yravitg」
とある魔法を発動した。
途端に、俺の上に重くのしかかっていた本棚が、羽毛のように軽くなった。
えっ…。
「これで良し!」
シルナは、軽くなった本棚を、スッと退かしてくれた。
ようやく、苦しかった呼吸が少し楽になった。
シルナが何の魔法をかけたのか分かった。
重力魔法だ。
重力魔法で、本棚の重さを鳥の羽根のように軽くして、本棚を退かしてくれたのだ。
「羽久!大丈夫…!?立てる?」
「あ、あぁ…」
俺は、自由になる右手で床に手をつき。
軋む身体を起こし、何とか立ち上がろうとしたのだが…。
「っ…!」
「羽久…!」
左腕が、ズキズキと激しい痛みを発していた。
見ると、肩の付け根の方から、雑巾でも捻ったように変な方向に曲がっていた。
あぁ…成程、痛みはコレのせいか…。
「腕が…羽久…」
「…大丈夫だ。腕以外は何ともないから」
左腕を庇いながら、俺はよろよろと、何とか起き上がった。
さながら、生まれたての子鹿のよう。
シルナに肩を貸してもらいながら、ようやく起き上がることが出来た。
「大丈夫じゃないよ…!ごめんね、私を庇って、こんな怪我を…」
「仕方ないだろ…。気にするな、身体が勝手に動いただけだから…」
俺が庇わなかったら、この怪我をしていたのはシルナだったのだ。
あるいは、もっと酷い怪我をしていたかもしれない。
だったら、俺が痛い思いをするくらい、何でもない。
「すぐに回復魔法をかけてあげるから…!」
「おぉ…。…宜しく」
シルナは杖を手に、俺の負傷した腕に回復魔法をかけようとした。
…しかし、その時。
「お揃いのようじゃな。聖賢者殿。そして羽久・グラスフィアよ」
「…!」
突如として聞こえたその声に、俺とシルナは振り返った。


