ーーーーー…時は、少し遡る。
イーニシュフェルト魔導学院の校舎、学院長室では。
「…っ…」
「い…いたた…」
突如、校舎に大地震が起きた。
この時は、俺もシルナも、この地震が人為的に…魔法で作り出されたものだとは思っていなかった。
それどころか、俺は…。
「いてっ、いたた。腰が…」
俺に突き飛ばされたシルナは、年相応のご老人のように、尻餅をついてさすさすと腰を擦っていた。
「羽久が私に失礼な、って、羽久っ!?」
「…シルナ…。…無事か…?」
シルナは、尻餅をついて腰を若干痛めただけで済んだが。
俺はそれどころではなかった。
「わ、私は大丈夫だけど…。それより、羽久の方こそ大丈夫!?」
「あ…あぁ…。大丈夫だ…」
「って、大丈夫な訳ないでしょ!今助けるから!」
俺は、本棚の下敷きになっていた。
学院長室の中には、俺の背丈よりも高い大きな本棚が、壁沿いにいくつも並んでいる。
そのうちの一つが、地震のせいでシルナに向かってぐらりと倒れるのを見て。
俺は咄嗟にシルナを突き飛ばし、助けた…のは良いが。
代わりに、俺がその本棚の下敷きになってしまった。
なんて情けない。
本棚から零れ落ちた本や、シルナ秘蔵のチョコやらにまみれながら。
本棚に身体を挟まれて、みっともなく身を捩らせるしかないとは。
何とか、自力で這い出そうとしたが…。
「…っ…!」
左上半身、特に肘から肩にかけて、鋭い痛みを感じた。
自分のものじゃないみたいに、動かそうと思ってもぴくりとも動かない。
これは…左手、持っていかれたか…?
本棚に潰されてて見えない。
「羽久!何処か怪我してるの!?」
シルナが血相を変えて、駆け寄ってきた。
「…大丈夫だ…。この、程度…」
強がってはみたが、自力では起き上がれそうになかった。
…どうやら、勢いよく倒れてくる本棚に、したたかに打ち付けてしまったらしい。
だけど、俺はホッとしていた。
良かった、と思っていた。
シルナが怪我してなくて良かった。
俺とシルナのどちらかが怪我をするなら、どう考えても、俺が怪我した方が良いに決まってるからな。
しかし、シルナは激しく狼狽していた。
「大丈夫だから、羽久。今すぐ助けるから!」
「…い…良いから、お前は…イレースや、ナジュ達のところに…」
あいつらは無事だろうか。
ナジュは不死身だから、多分大丈夫だと思うけど。
他のメンバーは…。
「まず君を助けるのが先だよ!ちょっと待ってね、今、本棚を退かすから…」
と言ってシルナは、俺の上に覆い被さるように倒れた本棚に取り付き。
「ふ〜んっ!!」
渾身の力で、本棚を起こそうとしたけれど。
分厚く重い本棚を、非力なシルナが持ち上げられるはずがなかった。
イーニシュフェルト魔導学院の校舎、学院長室では。
「…っ…」
「い…いたた…」
突如、校舎に大地震が起きた。
この時は、俺もシルナも、この地震が人為的に…魔法で作り出されたものだとは思っていなかった。
それどころか、俺は…。
「いてっ、いたた。腰が…」
俺に突き飛ばされたシルナは、年相応のご老人のように、尻餅をついてさすさすと腰を擦っていた。
「羽久が私に失礼な、って、羽久っ!?」
「…シルナ…。…無事か…?」
シルナは、尻餅をついて腰を若干痛めただけで済んだが。
俺はそれどころではなかった。
「わ、私は大丈夫だけど…。それより、羽久の方こそ大丈夫!?」
「あ…あぁ…。大丈夫だ…」
「って、大丈夫な訳ないでしょ!今助けるから!」
俺は、本棚の下敷きになっていた。
学院長室の中には、俺の背丈よりも高い大きな本棚が、壁沿いにいくつも並んでいる。
そのうちの一つが、地震のせいでシルナに向かってぐらりと倒れるのを見て。
俺は咄嗟にシルナを突き飛ばし、助けた…のは良いが。
代わりに、俺がその本棚の下敷きになってしまった。
なんて情けない。
本棚から零れ落ちた本や、シルナ秘蔵のチョコやらにまみれながら。
本棚に身体を挟まれて、みっともなく身を捩らせるしかないとは。
何とか、自力で這い出そうとしたが…。
「…っ…!」
左上半身、特に肘から肩にかけて、鋭い痛みを感じた。
自分のものじゃないみたいに、動かそうと思ってもぴくりとも動かない。
これは…左手、持っていかれたか…?
本棚に潰されてて見えない。
「羽久!何処か怪我してるの!?」
シルナが血相を変えて、駆け寄ってきた。
「…大丈夫だ…。この、程度…」
強がってはみたが、自力では起き上がれそうになかった。
…どうやら、勢いよく倒れてくる本棚に、したたかに打ち付けてしまったらしい。
だけど、俺はホッとしていた。
良かった、と思っていた。
シルナが怪我してなくて良かった。
俺とシルナのどちらかが怪我をするなら、どう考えても、俺が怪我した方が良いに決まってるからな。
しかし、シルナは激しく狼狽していた。
「大丈夫だから、羽久。今すぐ助けるから!」
「…い…良いから、お前は…イレースや、ナジュ達のところに…」
あいつらは無事だろうか。
ナジュは不死身だから、多分大丈夫だと思うけど。
他のメンバーは…。
「まず君を助けるのが先だよ!ちょっと待ってね、今、本棚を退かすから…」
と言ってシルナは、俺の上に覆い被さるように倒れた本棚に取り付き。
「ふ〜んっ!!」
渾身の力で、本棚を起こそうとしたけれど。
分厚く重い本棚を、非力なシルナが持ち上げられるはずがなかった。


