神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

毒の効果は上々。

あっという間に、敵魔導師は白目を剥いて、そのまま気絶してしまった。

「おーい。寝ちゃったー?おーい」

『八千歳』が、糸でほっぺたをツンツンしてるけど。

起きないね。

小柄な女性だし、毒の効きが良かったみたいだ。

「これ、このまま放っといて良いかな?」

「そーだねー。じゃあこうして…っと」

『八千歳』は太い糸を出して、失神した敵の身体をぐるぐると、簀巻きにした。

春巻きみたい。

「これでよーし」

この有り様だと、仮に目覚めても、糸に縛られてうごうご藻掻くだけで。

とてもじゃないけど、僕達に反撃したりは出来ないだろう。

…え?残酷?

まさか。殺さなかったんだから優しいでしょ。

殺すことは出来た。そんなことは簡単だ。

クナイで、喉を貫けば良かった。

麻痺毒じゃなくて、もっと強い…致死毒を塗ることも出来た。

だけど、僕はしなかった。

この人は、僕達のことを「薄汚い暗殺者」だと罵ったけど。

今の僕達は、もう暗殺者じゃないから。

イーニシュフェルト魔導学院の…学院長シルナ・エインリーのもとで学ぶ、生徒だから。

僕も『八千歳』も、自らの培った努力と才能を以て…それを証明したまでのことだ。