遊ぶ趣味はない。そろそろ終わりにしよう。
僕は、ちらりと『八千歳』の方を向いた。
『八千歳』もまた、僕と同じことを考えていた。
僕らは視線だけで互いの意思を確認し、僕は勢いよく地面を蹴った。
愚直に、真っ直ぐに前に飛ぶ。
「っ…!mtors!」
また風魔法。
だけど、その間合いは既に、完全に把握している。
『八千歳』の糸が僕を弾き飛ばし、風魔法の軌道から逸らす。
大きく右手の小太刀を振りかぶると、敵の上級魔導師は、躱そうと身を逸らした。
それで良い。小太刀はフェイントだ。
僕は右手で小太刀を振りながら、左手で懐からクナイを取り出した。
ちなみにこのクナイ、自分で研いで作った。
そのクナイを、敵の首筋めがけて投擲した。
「…つ!?」
小太刀の攻撃を躱した敵は、続いて飛んできたクナイからも逃げようと、身体を捻らせたが。
避けることに必死になるあまり、足元がお留守になってる。
その隙を、当然『八千歳』は見逃さなかった。
足元に、透明な糸がピンと張られてることに、敵魔導師は気づかなかった。
「あっ…!?」
その透明な糸に躓き、身体が前につんのめった。
体勢を崩すと同時に、僕が投擲したクナイが、彼女の首筋に傷をつけた。
クナイは直撃しなかった。ほんの少し、首筋を掠っただけだ。
敵魔導師は慌てて体勢を立て直しながら、急いで怪我をした自分の首筋に手を当てた。
喉元を貫かれると思ったのだろう。
実際はほんの少し掠めただけで、大きな傷ではない。
「ざ…ざまを見なさい…。は…。は、外したわ…?あはは…」
「…」
「お…同じ手は食わないわよ」
勝ち誇ってるようだけど、それは大きな間違いだ。
僕はわざと、敢えて少し軌道を逸らしたのだ。
ほんの少し掠めるだけで、充分だから。
「わ、私はお前達暗殺者になんか、あ、あれ?」
がくん、と。
キルディリア魔王国軍の上級魔導師は、その場に崩れ落ちた。
「な…なん…で、から、だ…が…」
「…効いてきたみたいだね」
毒だ。
クナイには、僕が自ら原料を採取して調合した、麻痺毒が塗ってある。
指先に塗るだけで、1分ほどで身体全体が麻痺する。
首筋などの太い血管がある箇所に塗布すれば、効果はものの数秒で現れる。
「君達は、魔法は得意なんだろうけど。魔法以外にも敵を無力化する方法は、いくらでもあるんだよ」
ってことを学ぶ、良い機会になったね。
魔法は確かに便利だ。使えたら、凄く有利になる。
でも、万能ではない。
そのことを、僕はよく知っている。
「大丈夫だよ。半日くらいは身体、動かないけど、明日になる頃には戻ってると思うよ」
「『八千代』の毒で良かったねー。俺の毒魔法だったら、一生寝たきり生活になるところだったよ」
と、笑いながら言う『八千歳』。
毒の扱いは、『八千歳』の方が得意だもんね。
「ど…毒、なんて…。ひきょう、な…」
…それが遺言?つまらないね。
「卑怯な手段なんてないよ。…勝つ為に必要なことは、全て正攻法だ」
魔法で華々しく散ろうが、豆腐の角で頭をぶつけて死のうが。
死ぬことに変わりはない。それと同じ。
君は負けた。僕達が勝った。…事実はそれだけだ。
僕は、ちらりと『八千歳』の方を向いた。
『八千歳』もまた、僕と同じことを考えていた。
僕らは視線だけで互いの意思を確認し、僕は勢いよく地面を蹴った。
愚直に、真っ直ぐに前に飛ぶ。
「っ…!mtors!」
また風魔法。
だけど、その間合いは既に、完全に把握している。
『八千歳』の糸が僕を弾き飛ばし、風魔法の軌道から逸らす。
大きく右手の小太刀を振りかぶると、敵の上級魔導師は、躱そうと身を逸らした。
それで良い。小太刀はフェイントだ。
僕は右手で小太刀を振りながら、左手で懐からクナイを取り出した。
ちなみにこのクナイ、自分で研いで作った。
そのクナイを、敵の首筋めがけて投擲した。
「…つ!?」
小太刀の攻撃を躱した敵は、続いて飛んできたクナイからも逃げようと、身体を捻らせたが。
避けることに必死になるあまり、足元がお留守になってる。
その隙を、当然『八千歳』は見逃さなかった。
足元に、透明な糸がピンと張られてることに、敵魔導師は気づかなかった。
「あっ…!?」
その透明な糸に躓き、身体が前につんのめった。
体勢を崩すと同時に、僕が投擲したクナイが、彼女の首筋に傷をつけた。
クナイは直撃しなかった。ほんの少し、首筋を掠っただけだ。
敵魔導師は慌てて体勢を立て直しながら、急いで怪我をした自分の首筋に手を当てた。
喉元を貫かれると思ったのだろう。
実際はほんの少し掠めただけで、大きな傷ではない。
「ざ…ざまを見なさい…。は…。は、外したわ…?あはは…」
「…」
「お…同じ手は食わないわよ」
勝ち誇ってるようだけど、それは大きな間違いだ。
僕はわざと、敢えて少し軌道を逸らしたのだ。
ほんの少し掠めるだけで、充分だから。
「わ、私はお前達暗殺者になんか、あ、あれ?」
がくん、と。
キルディリア魔王国軍の上級魔導師は、その場に崩れ落ちた。
「な…なん…で、から、だ…が…」
「…効いてきたみたいだね」
毒だ。
クナイには、僕が自ら原料を採取して調合した、麻痺毒が塗ってある。
指先に塗るだけで、1分ほどで身体全体が麻痺する。
首筋などの太い血管がある箇所に塗布すれば、効果はものの数秒で現れる。
「君達は、魔法は得意なんだろうけど。魔法以外にも敵を無力化する方法は、いくらでもあるんだよ」
ってことを学ぶ、良い機会になったね。
魔法は確かに便利だ。使えたら、凄く有利になる。
でも、万能ではない。
そのことを、僕はよく知っている。
「大丈夫だよ。半日くらいは身体、動かないけど、明日になる頃には戻ってると思うよ」
「『八千代』の毒で良かったねー。俺の毒魔法だったら、一生寝たきり生活になるところだったよ」
と、笑いながら言う『八千歳』。
毒の扱いは、『八千歳』の方が得意だもんね。
「ど…毒、なんて…。ひきょう、な…」
…それが遺言?つまらないね。
「卑怯な手段なんてないよ。…勝つ為に必要なことは、全て正攻法だ」
魔法で華々しく散ろうが、豆腐の角で頭をぶつけて死のうが。
死ぬことに変わりはない。それと同じ。
君は負けた。僕達が勝った。…事実はそれだけだ。


