「…」
一瞬、ほんの一瞬だけ、気を失いそうになった。
それでも何とか意識を保てたのは、日頃の訓練の賜物であり、吹き飛ばされている間に受け身を取ったからであり。
そして、咄嗟に『八千歳』が糸を僕の身体に巻き付け、風の勢いを僅かでも殺してくれたからである。
ただし、少なからぬダメージを負ったのは確かだった。
僕は小太刀を地面に刺し、それを杖代わりに立ち上がった。
何事があっても、立ち上がることが出来る限り、何度でも立ち上がる。
そうしなければ生き残れない。暗殺者時代に学んだことである。
立ち上がって、自分の背後を見て。
ようやく、自分が何にぶつかったのか分かった。
学生寮だ。
僕は学生寮まで吹き飛ばされて、その建物の壁面に、思いっきりめり込んでしまったのだ。
壁、壊しちゃった。
…全く酷いことをしてくれる。
「…よくもやってくれたね」
僕は、口元から垂れる血の雫を、黒装束の袖で拭った。
すたすたと、僕の前に先程の魔導師が迫ってきた。
さっき強風を起こして、僕を吹き飛ばした魔導師だ。
僕は全く詳しくないけど、多分、風魔法だろう。
不死身先生も得意な風魔法。
ただし、不死身先生は風魔法で風の刃を作るのが得意だった。
この人は、とにかく強い風を。
人どころか、木や、木造の建物くらいなら平気で更地にしてしまえるほどの強風を起こすことが出来るらしい。
この人がいたら、風力発電が捗りそうだね。
「…よくも?あなたがそれを言うの」
その人…風魔法使いの女魔導師は、僕に明らかな嫌悪を向けていた。
「この程度のことで…。まさか、自分は子供だから許してもらえると思ってる?」
「僕じゃなくて。…学生寮の壁を壊したことだよ」
「何ですって?」
僕は振り向いて、破壊されて、部屋の中が覗いている悲惨な学生寮の有り様を指差した。
「後でイレース先生に怒られるの、僕なんだからね」
敵と交戦していて、仕方なく…。…なんて、あの人には通用しないから。
大目玉を食らって、不眠不休で壁を直しなさい、って怒られそう。
そうなったら…。…仕方ないから、頑張って直そう。
きっと『八千歳』も協力してくれるはずだ。…多分。
「これ以上壊さないでね。冬休みが終わってみんなが帰ってきた時、寝る場所がなくなっちゃってたら困るから」
「…隨分と余裕なのね。それとも、余裕ぶってるだけかしら」
別に余裕ぶってる訳じゃないけど。
「それもお得意の暗殺術の一つなの?」
「…何?」
「あなたのこと知ってるわ。ジャマ王国の暗殺組織、『アメノミコト』の暗殺者。それも、『終日組(ひねもすぐみ)』とかいうエリート暗殺者だそうね」
へぇ。
僕、キルディリア魔王国でも名を知られているんだ。
ちょっと照れるね。
一瞬、ほんの一瞬だけ、気を失いそうになった。
それでも何とか意識を保てたのは、日頃の訓練の賜物であり、吹き飛ばされている間に受け身を取ったからであり。
そして、咄嗟に『八千歳』が糸を僕の身体に巻き付け、風の勢いを僅かでも殺してくれたからである。
ただし、少なからぬダメージを負ったのは確かだった。
僕は小太刀を地面に刺し、それを杖代わりに立ち上がった。
何事があっても、立ち上がることが出来る限り、何度でも立ち上がる。
そうしなければ生き残れない。暗殺者時代に学んだことである。
立ち上がって、自分の背後を見て。
ようやく、自分が何にぶつかったのか分かった。
学生寮だ。
僕は学生寮まで吹き飛ばされて、その建物の壁面に、思いっきりめり込んでしまったのだ。
壁、壊しちゃった。
…全く酷いことをしてくれる。
「…よくもやってくれたね」
僕は、口元から垂れる血の雫を、黒装束の袖で拭った。
すたすたと、僕の前に先程の魔導師が迫ってきた。
さっき強風を起こして、僕を吹き飛ばした魔導師だ。
僕は全く詳しくないけど、多分、風魔法だろう。
不死身先生も得意な風魔法。
ただし、不死身先生は風魔法で風の刃を作るのが得意だった。
この人は、とにかく強い風を。
人どころか、木や、木造の建物くらいなら平気で更地にしてしまえるほどの強風を起こすことが出来るらしい。
この人がいたら、風力発電が捗りそうだね。
「…よくも?あなたがそれを言うの」
その人…風魔法使いの女魔導師は、僕に明らかな嫌悪を向けていた。
「この程度のことで…。まさか、自分は子供だから許してもらえると思ってる?」
「僕じゃなくて。…学生寮の壁を壊したことだよ」
「何ですって?」
僕は振り向いて、破壊されて、部屋の中が覗いている悲惨な学生寮の有り様を指差した。
「後でイレース先生に怒られるの、僕なんだからね」
敵と交戦していて、仕方なく…。…なんて、あの人には通用しないから。
大目玉を食らって、不眠不休で壁を直しなさい、って怒られそう。
そうなったら…。…仕方ないから、頑張って直そう。
きっと『八千歳』も協力してくれるはずだ。…多分。
「これ以上壊さないでね。冬休みが終わってみんなが帰ってきた時、寝る場所がなくなっちゃってたら困るから」
「…隨分と余裕なのね。それとも、余裕ぶってるだけかしら」
別に余裕ぶってる訳じゃないけど。
「それもお得意の暗殺術の一つなの?」
「…何?」
「あなたのこと知ってるわ。ジャマ王国の暗殺組織、『アメノミコト』の暗殺者。それも、『終日組(ひねもすぐみ)』とかいうエリート暗殺者だそうね」
へぇ。
僕、キルディリア魔王国でも名を知られているんだ。
ちょっと照れるね。


