ーーーーー…聖魔騎士団の三人と、それからマシュリが走り去った後。
僕と『八千歳』、それからイレース先生と不死身先生と、そして天音先生だけが残った。
天音先生は回復魔法専門だから、戦力には加えないとして…。
その分、不死身先生に2倍働いてもらうということで、良しとしよう。
「うわぁ。令月さんが地味に酷いこと考えてる…」
酷いこと考えたつもりはなかったんだけど。
「心配しなくて良いよ。僕も働くから」
僕は、両手に愛用の小太刀を構えた。
キルディリア魔王国の魔導師を相手にするのは、初めてだね。
物凄く魔法が得意なお国柄だと聞いている。
だけど、元々ろくに魔法の使えない僕には関係ない。
器用な『八千歳』と違って、僕の戦い方はいつだって同じだ。
魔法の使えない僕一人だったら、キルディリア魔王国軍の魔導師を相手にするなんて、荷が重かっただろう。
だけど、今は隣に『八千歳』がいる。
『八千歳』はいつも通り、両手に透明な細い糸を絡ませた。
校舎とは分断されたけど、ここはイーニシュフェルト魔導学院であり、隣に『八千歳』もいる。
二人で連携すれば、敵を一網打尽…。
…までは出来なくても、さっき分かれていった聖魔騎士団組が、壁を破壊するまでの時間は稼げるはずだ。
根拠はないが、自信はある。
それに今は、イレース先生や不死身先生までいるのだ。
ますます、負ける気がしない。
こちらが劣勢なら、下手に攻撃を仕掛けるべきではない。
むしろ、突破されないよう、敵を迎え撃つことだけを考えるべきだ。
だけど、僕はこの状況を劣勢だとは思っていなかった。
充分押し返せる。
それに相手は、どんな魔法を使ってくるのか、どんな作戦を考えているのか分からないのだ。
ならば、仕掛けられる前に、これ以上敵のペースに乗せられる前に、こちらから仕掛ける。
「『八千歳』」
「分かってる」
『八千歳』も、僕と同じことを考えていたようだ。
僕は地面を蹴り、同時に『八千歳』も、強靭な凶器の刃を迸らせた。
敵の本陣、その先頭に肉薄した…。
…その時だった。
「mtors」
僕らが攻撃を仕掛けるのを、待っていたかのように。
本陣の先頭の魔導師が、杖をこちらに向けた。
その瞬間、僕は抗い難い、凄まじい強風に身体を煽られた。
「ぐっ…!?」
丁度、小太刀を振りかぶった体勢を取っていた僕は、無抵抗に、その強烈な向かい風を受け。
身体がふわりと舞い、ボールを投げるかのように、遥か後方に吹き飛ばされた。
まるで、押し潰されるような凄まじい威力だった。
「っ、『八千代』!」
『八千歳』が叫び、敵に向けようとしていた糸を、咄嗟に僕の方に伸ばした。
『八千歳』の放った透明な糸が、しゅるしゅると僕の身体に巻き付いた。
と同時に、
「かはっ…!」
僕は、建物の壁に思いっきり背中をぶつけた。
内臓を直接殴られたかのような強い衝撃に、思わず、一瞬息が止まった。
僕と『八千歳』、それからイレース先生と不死身先生と、そして天音先生だけが残った。
天音先生は回復魔法専門だから、戦力には加えないとして…。
その分、不死身先生に2倍働いてもらうということで、良しとしよう。
「うわぁ。令月さんが地味に酷いこと考えてる…」
酷いこと考えたつもりはなかったんだけど。
「心配しなくて良いよ。僕も働くから」
僕は、両手に愛用の小太刀を構えた。
キルディリア魔王国の魔導師を相手にするのは、初めてだね。
物凄く魔法が得意なお国柄だと聞いている。
だけど、元々ろくに魔法の使えない僕には関係ない。
器用な『八千歳』と違って、僕の戦い方はいつだって同じだ。
魔法の使えない僕一人だったら、キルディリア魔王国軍の魔導師を相手にするなんて、荷が重かっただろう。
だけど、今は隣に『八千歳』がいる。
『八千歳』はいつも通り、両手に透明な細い糸を絡ませた。
校舎とは分断されたけど、ここはイーニシュフェルト魔導学院であり、隣に『八千歳』もいる。
二人で連携すれば、敵を一網打尽…。
…までは出来なくても、さっき分かれていった聖魔騎士団組が、壁を破壊するまでの時間は稼げるはずだ。
根拠はないが、自信はある。
それに今は、イレース先生や不死身先生までいるのだ。
ますます、負ける気がしない。
こちらが劣勢なら、下手に攻撃を仕掛けるべきではない。
むしろ、突破されないよう、敵を迎え撃つことだけを考えるべきだ。
だけど、僕はこの状況を劣勢だとは思っていなかった。
充分押し返せる。
それに相手は、どんな魔法を使ってくるのか、どんな作戦を考えているのか分からないのだ。
ならば、仕掛けられる前に、これ以上敵のペースに乗せられる前に、こちらから仕掛ける。
「『八千歳』」
「分かってる」
『八千歳』も、僕と同じことを考えていたようだ。
僕は地面を蹴り、同時に『八千歳』も、強靭な凶器の刃を迸らせた。
敵の本陣、その先頭に肉薄した…。
…その時だった。
「mtors」
僕らが攻撃を仕掛けるのを、待っていたかのように。
本陣の先頭の魔導師が、杖をこちらに向けた。
その瞬間、僕は抗い難い、凄まじい強風に身体を煽られた。
「ぐっ…!?」
丁度、小太刀を振りかぶった体勢を取っていた僕は、無抵抗に、その強烈な向かい風を受け。
身体がふわりと舞い、ボールを投げるかのように、遥か後方に吹き飛ばされた。
まるで、押し潰されるような凄まじい威力だった。
「っ、『八千代』!」
『八千歳』が叫び、敵に向けようとしていた糸を、咄嗟に僕の方に伸ばした。
『八千歳』の放った透明な糸が、しゅるしゅると僕の身体に巻き付いた。
と同時に、
「かはっ…!」
僕は、建物の壁に思いっきり背中をぶつけた。
内臓を直接殴られたかのような強い衝撃に、思わず、一瞬息が止まった。


