神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

「あなた達」

イレースちゃんが、くるりとこちらを振り向いた。

俺とルイーシュ、そして無闇の三人に。

「この忌々しい壁を破壊して、パンダ学院長を守ってください。ここは私達で切り抜けます」

「…!でも…」

「あれを奪われたら、こちらの負けなんです。問答をしている時間が惜しい。早く行きなさい」

「…」

…あんたは潔い女だよ、イレースちゃん。

それじゃ、ご期待に応えて。

「分かった。行くぞルイーシュ、無闇」

「了解した」

「何だか、地味に重大な役目を任された気がしますね…」

地味じゃなくて、実際重大な役目なんだよ。

今日はサボるなよ、ルイーシュ。

「それから、あなたも彼らと一緒に行きなさい」

イレースちゃんは更に、マシュリにもそう声をかけた。

「僕も…?だけど…」

「こちらには不死身男がいるので、最悪何とかなります」

不死身男って、ナジュのことか。

「うわー。イレースさん、僕を使い潰す気満々じゃないですか」

「当たり前です。こんな時くらい役に立ちなさい」

まるで、いつもは役に立ってないみたいな辛辣な台詞である。

まぁ、それも信頼の証ってことで。

物は言いようだな。

「その猫、一匹連れていけば便利でしょう。いざとなったら、あなたが壁を破壊しなさい」

「分かった」

猫の手も借りたいってか。

ケルベロスだけどな。今。

「よし、そんじゃ行くぞ」

俺とルイーシュ、無闇、そしてケルベロスマシュリの4人は。

くるりと踵を返し、校舎の裏側目指して走り出した。

まずは、この敵部隊から距離を取る。

それから、何とかして壁を破壊する方法を探す。

しかし、事はそう簡単には運ばない。

「逃がすな!捕らえろ!」

キルディリア魔王国軍の本隊が、俺達を逃がすまいと追ってきた。

そこに、イレースちゃん達が立ちはだかった。

すげぇ。かっこいい。そして頼もしい。

じゃ、俺も不甲斐ないところを見せる訳にはいかんな。

一応、ここ母校だし。

託されたからには、努力して果たすとしよう。