ーーーーー…場所は、またイーニシュフェルト魔導学院に戻る。

敵の第一陣を、見事に撃退した俺達。

突入してきた部隊は、イレースの言った通り、這々の体で尻尾巻いて帰っていった。

さよなら。もう二度と来なくて良いぞ。

しかし。

敵は、間髪入れずに第二陣を送り込んできた。

しかも、それが…。




「おっ、またカモが来たぞ」 

「次はどの罠を使おうかな」

なぁ。何でちょっとウキウキしてんの?

自分の作った工作を、見てもらいたくて堪らない幼稚園児かな?

…しかし。

「ちょっと待って、二人共。あの人、手を上げてる」

天音が、そんな元暗殺者組を止めた。

え?

俺も見てみると、確かに。

第二陣の戦闘、指揮官らしき女性兵士が、両手を上げて近づいてくるではないか。

あれって、もしかして…。

「お、何だ。もう降参か?」

だとしたら、話が早くて助かるんだが。

「手を上げてる…?ってことは、容赦なく攻撃して良いってことだね」

「よーし、やろっかー」

「ちょ、ちょっと待てって、お前ら!」

喜び勇んで飛び出そうとする元暗殺者組を、必死で止めた。

こいつら、国際的な降参の合図を知らないのか。

「両手を上げてる=容赦なく攻撃して良い」じゃないんだよ。お馬鹿。

もっと平和的に行こうぜ。

「どうやら、彼らには何か、言いたいことがあるようだな」

と、無闇君。

…っぽいな。

「…どうする?聞いてやるか?」

「もしかしたら、もう攻撃をやめてくれるのかもしれない。聞いてみよう」

天音がそう言った。

まぁ、天音は反戦主義だからな…。

俺達としても、別に戦うことを望んでる訳じゃない。

平和的にお取り引きいただけるなら、それに越したことはない。

だが、念の為に…。

「…ナジュ、大丈夫そうか?」

「えぇ。話し合いを望んでるようです」

相手の心を読めるナジュに、読心による通訳を頼んだ。

成程、なら安心だな。

「お願いします、攻撃はやめてください。こちらに抵抗する意思はありません」

第二陣の部隊長らしき女性魔導師が、俺達にそう言ってきた。

…攻撃する意思ないって、さっき思いっきり殴りかかってこようとしてたじゃん。

どの面下げて。 

「だったら、さっさと自分の国に帰りなさい」

険しい顔をしたイレースちゃんが、冷たく言い返した。

そうだそうだ。さっさと帰れ。

「いいえ、聖賢者様を連れずには、帰れません」

何だと?

「お願いします。私達の目的は、聖賢者様ただお一人です。彼を返してください」

…だってさ。