神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

こういう、期間限定モノの珍しい味の商品ってさ。

いくら変な味でも、「期間限定」って書いてあるだけで、なんかすげー美味しそうに見えるの。

分かる?この気持ち。

こういうのに釣られて買っちゃうから、俺は良いお客様なんだろうなぁ。

「そういう天音さんは、何買ってきたんですか?」

「え?僕は…えっと、サラダパスタを…」 

「うわぁ…。優等生…」

「…」

サラダパスタに対する厚い風評被害。

「ナジュさんは?」

「僕は、肉まんとからあげ棒買ってきました」

定番のホットスナック。

お前さんは話の分かる男だよ。

「もぐもぐ。美味しい」

「糠漬けに合うねー」

元暗殺者組の二人がリクエストしたのは、中に何も入っていない、それどこりか海苔さえ巻いていない、ふっつーの白いおにぎり。

スーパーのお惣菜コーナーとかで、この塩むすびを見かける度。

こんなの買う人いるのかな、って思ってたけど。

ここに居たわ。

「塩むすびなんか、買う人実在したんですね」

おいルイーシュ。言うなって。

二人は塩むすびをもぐもぐしながら、自分達で作った糠漬けを、ポリポリと齧っていた。

それから。

「マシュリさん、はい。ありましたよ」

「…!これは…!期間限定、新発売の『ちゅちゅ〜る 和風カツオ味』…!」

恍惚として、猫用おやつを受け取るマシュリ。

早速ピッ、と開け口を開け。

「…にゃ〜…」

幸せそうに、ペロペロと舐めていた。

「…クレイジーだな」

「クレイジーですね」

せめて、猫の姿でやってくれないか。それ。

人の姿でやってるもんだから、猫のおやつを恍惚と舐めてる、頭のおかしい人にしか見えない。

…ま、良いや。

よそはよそ。俺は自分のカップ麺を食べよう。

ビリビリ、と蓋を開け、粉末のスープとかやくを入れる。

ここに、線までお湯を注いで…。

「えーと…。これは5分待つタイプのカップ麺だな」

「えぇー。意外と長いじゃないですか」

「短気な奴だな…」

5分って、カップ麺の待ち時間としては最長じゃね?

この5分間の長いこと長いこと。

カップ麺の待ち時間ってさ、多分、人生で一番長く感じる時間だと思う。

病院の待ち時間と同じくらい長い。

でも俺は待つぞ。ちゃんと5分間…。

…しかし。

「…あー、もう待ち切れないんで食べます」

ルイーシュは、たった3分ちょいでギブ。

ベリベリッ、と蓋を開けて、麺をかき混ぜ始めた。

立ち昇る、カレーのような味噌のような、しょうゆのような香り。

おぉ…。なんか複雑だが、結構良い匂いじゃん。