ーーーーー…同時刻、イーニシュフェルト魔導学院の職員室にて。



「みなさーん。帰ってきましたよー」

「ただいまー」

職員室に、ナジュと天音が入ってきた。

コンビニのロゴが付いた、白いビニール袋を手に。

おぉー。来た来た。

職員室のソファにもたれて、足を組んでいた俺は。

隣で昼寝していたルイーシュを、つついて起こした。

「おいルイーシュ、起きろ」

「…何ですか、キュレムさん…。あともう少し…」

「補給が届いたぞ」

「おはようございます」

補給と聞くなり、ぱっちりと目を覚ますルイーシュ。

現金な奴だよ。

一体何をしていたのかというと、天音とナジュにお使いを頼んでいた。

ずっと学院にこもって、敵を待ち構えている俺達だけど。

何もせずにただじっとしてたら、気が滅入るだろ?

だから、それぞれ何か好きなものでも食べて、気分転換しようと思って。

そこで、天音とナジュの二人に買い出しに行ってもらっていた訳だ。

やったぜ。

「はい、イレースさん。お望み通り、ハムレタスサンドと無糖の紅茶です」

「ご苦労様です」

どうやら、イーニシュフェルト魔導学院でも随一の仕事人間らしいイレースちゃん。

片手でもぐもぐとサンドイッチを食べながら、手元は忙しなく動いていた。

すげー…。食べるか仕事するか、どっちかにすれば良いのに。

ルイーシュにも見習って欲しい勤勉さ。

「それから、無闇さんにはブラックコーヒー、月読さんはカフェラテとショートケーキ」

「あぁ、済まないな」

「ありがとー!無闇君、ショートケーキ半分こしよ」

「いや、俺は甘いものはあまり…。…一人で食べてくれ」

「えー。つまんない」

畜生。見せつけやがってよ。

女子に「ケーキ半分こにしよ」なんて、俺、人生で一度も言われたことない。

多分、これからも一生ない。

羨ましい限りである。爆発しろ。

「それから、キュレムさんとルイーシュさんには…はい、頼まれてたカップ麺を」

「おぉー、さんきゅ」

「ありがとうございます」

俺とルイーシュが頼んだカップ麺。それは。

その名も、「癖になる美味しさ!味噌カレーしょうゆチゲラーメン大盛り」。

どうよこれ。めっちゃ美味そうだろ?

…結局何味なのか定かではない、というところが最高。

「ほ、本当にこれ食べるの…?」

と、天音が心配そうに聞いてきた。

おい、何だよ。

「…駄目なのか?」

「え、いや、だ、駄目じゃないけど…」

「天音さんはね、これを二つもレジに持っていった時、店員さんに『え、これ本当に買うの…?』って目で見られたことを気にしてるんですよ」

「ちょ、ナジュ君ちがっ…。違うから!そういうことじゃないから!」

そうか…天音君よ。

君って正直だなぁ。