神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

「はい、羽久。どーぞ」

「…どーも…」

シルナは小さめのスプーンと共に、アイスクリームの小皿を差し出してきた。

いや、俺は別に要らないから。と言いたいところだが。

あまりにも良い笑顔で差し出してくるもんだから、嫌とも言えない。

受け取っておく。…一応。

「さぁ食べよう!いただきまー…」

シルナはアイスクリームにスプーンを入れ、口に運ぼうとした。



…その時だった。




突然、足元がミシミシと音を立て。

グラグラッ!と激しく揺れ始めた。

「っ!?」

「ぴぎゃーっ!?」

「シルナ、危ない!」

シルナの真横の大きな本棚が、たくさんの本を撒き散らしながら倒れそうになるのを見て。

俺は、思いっきりシルナを突き飛ばした。

ほぼ同時に、その本棚が目の前に、ぐらりと迫ってくるのが見えた。