神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

ーーーーー「その時」は、突然やって来た。



   



シルナはその時、冷凍庫から秘蔵のアイスクリームを取り出していた。

「羽久…見て。今こそ、この封印を解く時だよ」

「…」

「じゃーん!半年前、イレースちゃんに内緒で注文して、冷凍便で届けてもらった…高級チョコアイス!」

…だ、そうだ。

「ずっと、『今日食べるか?今日のおやつにするか…!?…いや、焦るな。まだその時じゃない…』と思い続けて、ずっと温存してたんだ…。…アイスクリームだから、冷存って言うべきかもしれないけど」

別に面白くないぞ。

「そして今日私は、ついにその封印を解く!」

「…こんな時に?」

「こんな時だからこそ。差し迫った状況だからこそ、思いっきり美味しいものを食べる!」

「…ふーん…」

まぁ、言わんとすることが分からなくはないけど。

だからって、いつ戦争が始まるか分からない、いつ攻め込まれるか分からない状況で。

よくもまぁ、アイスクリームなんて食べようと思えるもんだよ。

呑気な奴だな。

「…!羽久が私に失礼なことを考えてる気がする…!」

「そうだな」

「でも、アイスクリームが美味しそうだから良いや!」

「…あ、そう」

良かったな。

シルナは満面笑みで、半年間封印されていたチョコアイスの蓋を開けた。

「おぉぉ…!美味しそう!羽久、見てこれ!こんなに美味しそうだよ、ほら!」

ハイテンション。

「はいはい…。…良かったな」

「この艶やかな色…。そして、立ち昇る濃厚なチョコの匂い…!すぅ〜…。…はぁ〜…」

チョコアイスに鼻を近づけて、深呼吸を繰り返すシルナ。

…狂人である。

「羽久も一緒に食べようね!」

「いや、俺は別に…」

「まずはお皿に取り分けて〜」

聞いてないし。

シルナは、アイスクリームディッシャー(アイスを掬うアレ)を手に、

小さな取り皿に、丸いチョコアイスを二つ、乗せた。

更にシルナは、追いチョコレートと言わんばかりに。

「よし、トッピングしよう!」

チョコアイスの上に、チョコスプレーと、チョコソースをたっぷり。

更にチョコチップたっぷりのチョコクッキーを、贅沢に3枚も添え。

シルナ特製、チョコにチョコ盛りアイスクリームの出来上がり。

「よし、完璧!凄く美味しそう!」

…やっぱり狂人だな。

イレースが見たら、間違いなく舌打ちしていたことだろう。