神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

「な、ナジュ君。さすがに、子供達に混じって大人が…」

大人が砂場でお山なんて作ってたら、さすがに怪しまれちゃうよ。

それはやめよう、と言おうとしたけど。

「…何だか懐かしいですね」

「えっ?」

山を少しずつ大きくしながら、ナジュ君はしみじみと、懐かしそうに言った。

「思えば、リリスと最初に会ったのも公園だったんですよね。さびれて、ブランコと滑り台くらいしか遊具のない、小さな公園」

「…」

「僕は家族との関係が良くなくて、リリスに出会うまでは、ずっと一人ぼっちだったんです。一人で遊ぶのが当たり前…。…だけどリリスと出会ってからは、リリスが一緒に遊んでくれて…」

「…」

「不思議ですよね。一人で遊んでた時は、一日が長くて仕方なかったのに…。リリスと一緒にこうして、砂場で遊んだりブランコで遊んだりすると、あっという間に時間が過ぎるんですよ」

「…」

…唐突に重い話が出てきて、反応に困るけど。

そっか…ナジュ君…。

「でもあの後、戦争に巻き込まれて…。もう公園で遊ぶような時間も、余裕も、そもそも公園も焼け野原になっちゃったんですけどね」

「…」

「思えば、あの頃が一番楽しかったですね。リリスと一緒に、砂場で山を作ってたあの頃が…。僕の人生のピークだったんでしょうね」

「…」

ピークなんかじゃないよ、ナジュ君。

僕は黙って、砂のお山を挟んで、ナジュ君の向かい側にしゃがみ込み。

一緒に、砂山を作り始めた。

…綺麗な思い出は、綺麗なまま残しておいて良いと思う。

だけど、綺麗な思い出の中だけに生きて、これからの人生に対して目を閉じてしまうのは、それは勿体ないと思う。

「あのね、ナジュ君。これからきっと、楽しいことがたくさんあるよ」

山を作りながら、僕は言った。

「一人じゃないから。映画館でも、アイスクリーム屋さんでも、公園でも…。何処でも付き合うから」

だから、そんな寂しいことは言わないで。

「…さっきから、ずっと恥ずかしがってた癖に?」

「うぐっ…そ、それは…」

それは認めるけど。

でもナジュ君やっぱり、分かっててわざと、恥ずかしい場所にばっかり連れて行ったんだね?

…もぉぉ…。

「ふふふ。天音さんのお陰で楽しかったですよ、今日は」

「そりゃ…僕も楽しかったけどさ…」

今度は、もう少し恥ずかしくない場所に…。

…と、言おうとしたその時。

「◯◯ちゃん!帰るわよ」

突然、公園の中に若いお母さんが駆け込んできた。

そして、ブランコで遊んでいた幼稚園くらいの女の子の手を引いて、無理矢理立たせた。

「えぇ、やだ!まだ遊びたい!」

「ダメよ。それどころじゃないの!すぐ帰るわよ」

ぐずる女の子を、お母さんは半ば強制連行。

引っ張るようにして、連れて帰ってしまった。

…何これ?