神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

ナジュ君の背中に隠れるようにしながら、しばらく待っていると。

ようやく、順番が回ってきた。

「いらっしゃいませー。ご注文をどうぞ」

メルヘンなエプロンをつけた女性店員が、にこにこしながらそう言った。

ど、どうも…。

「ただいま、『冬の濃厚しっとり♡メルヘンフェア』を開催中です」
 
「へぇー。美味しそうですね」

「ありがとうございます。この、『雪だるまさん、こんにちは♡いちごみるく味』なんて、とてもおすすめですよ」

何?その口にするのも恥ずかしいフレーバー。

「成程、じゃあ彼には、その雪だるまアイスをお願いします」

ナジュ君は、背中に隠れていた僕を指差しながら言った。

えっ、ちょっとナジュ君、何言ってるの。

僕は、普通のバニラ味とか…チョコ味とか。

「かしこまりました!ただいま、プラス100円で雪だるまデコレーションが出来ますが」

「あ、じゃあお願いします」

ちょ、ちょちょちょちょっと。

僕の注文、勝手に決めないで。

「それじゃあ僕は…。…この『妖精さんがつくった濃厚きゃらめるすいーと味」をお願いします」

凄い。あんな恥ずかしい名前のフレーバーを、一切躊躇うこともなく。

「かしこまりました!こちらも雪だるまデコレーションに致しましょうか?」

「もちろんです!お願いします」

とっても良い笑顔。

「かしこまりました!それでは、少々お待ち下さいねー」

「じゃあ天音さん、空いてる席、取っておいてくれませんか」

「あ、う、うん…」

店内で食べるんだね。…勇気あるなぁ。

こうなったら、僕も覚悟を決めて…。

大丈夫だよ。みんなお店の中で食べてるんだから。同じように、メルヘンなアイスクリームを…。

…と、自分にそう言い聞かせていたけれど。

「はいっ、天音さんお待たせしました。アイスが来ましたよ」

「あ、うんありが…。…うわっ…」

届いたアイスクリームを見て、思わず声が出てしまった。

店名のロゴが入った、メルヘンでポップなデザインの紙カップの中に。

鮮やかなピンクと白のコントラストが可愛らしい、大きなアイスクリームが二段、でん、でん、と乗っている。

下の方が大きくて、上はちょっと小振り。

雪だるまだもんね。

上の段…雪だるまの顔の部分には、マーブルチョコの目が二つと、小さなチョコブラウニーで口が一つついていた。

頭には、赤い帽子の形のクッキーが乗っていた。

更に、下の段…雪だるまの身体の部分には、腕の代わりに、ポッキーが2本、左右に刺さっていた。

うわぁ…予想以上に雪だるま…。

ナジュ君のアイスも同様で、違うのは僕のようにピンクじゃなくて、淡いブラウンのアイス。

キャラメルだって言ってたもんね。

「可愛いですね。食べるのが勿体ないです」

「…うん、そうだね…」

シュニィさんの娘さんだったら…きっと喜んでくれただろうに、ねぇ。

でも、アイスは文句なく、充分美味しかったよ。