「マシュリ…お前も知ってるのか」
「『HOME』にいた頃…。キルディリア魔王国の魔導師軍は、『HOME』の警戒対象に入ってた。アーリヤット皇王も危険視してたよ」
「…そうか…」
そうだろうな。
アーリヤット皇国は、魔導師排斥論者であるナツキ様の治める国だ。
当然、キルディリア魔王国のことも警戒対象に入っていただろう。
「でも、皇王がキルディリアにそれほど注意を向けていたとは思わない。彼はルーデュニア聖王国一点狙いだったから」
「あぁ…そうだな」
ナツキ様の眼中にあったのは、ルーデュニア聖王国だけだ。
ひたすら、この国だけを…フユリ様のことだけを…目の敵にしていた。
勿論、それはハクロとコクロ…。大天使ミカエルとラファエルによる強制的な洗脳のせいでもあるのだが。
ナツキ様が個人的な恨みを抱き、敵視していたのはルーデュニア聖王国のみ。
まさか、キルディリア魔王国が突然攻め込んでくるなんて…思ってもみなかったはずだ。
俺達でさえ、まだ信じられない思いのに。
「つまり、その国は魔導師の国なんだね。親魔導師国家なんだ」
と、令月。
「そうだ。ルーデュニア聖王国と同じ…。…いや、それ以上に魔導師の国だよ」
「ふーん。それで『魔』王国なんだね」
そういうことだ、すぐり。
その国名からして、魔導師に寛容な国なのだと分かる。
…いや、寛容、ってレベルではないな。
「マシュリさん…。キルディリア魔王国について、他には知っていますか?」
「いや…。僕が知ってるのは、キルディリアがルーデュニア聖王国以上の親魔導師国家で、魔導師軍という強力な国軍があることくらいだよ」
「そうですか…。では、僭越ながら私が説明させていただきますね」
シュニィは、そう前置きしてから。
「現在キルディリア魔王国がある島は、元々無人島だった島なんです。不毛の土地で、水源も植物もなく、動物も住んでいなかった場所だったそうです」
と、説明を始めた。
「そんなとこに、なんで国が出来たの?」
「それは…何百年前も前のことですが、不毛な島故に、罪人の流刑地に選ばれてしまったからです」
「あー成程ねー。島流しの場所だったワケね」
「はい」
現代では、ほとんど有り得ない刑罰だが。
大昔では、そういう罰もあったのだ。
そして、不毛な島である現在のキルディリア魔王国が、その刑罰の場所に選ばれた。
「島に送られたのは魔導師でした。昔は、今ほど魔導に対する理解が進んでいませんでしたから。反魔導師国家では、ただ魔導師であるというだけで、国家反逆罪として捕らえられてしまって…」
「…そんな…」
心根の優しい天音は、その悲しい話を聞いて心を痛めているようだった。
…でも、実際は、捕らえられて島流しにされるくらいなら、まだマシだったのだ。
中には…魔導師というだけで、問答無用で殺されてしまった者も多くいた。
ルーデュニア聖王国では有り得なかったであろう残虐な行為が、諸外国では多くあったのだ。
「そうして全国各地から、祖国を追われた魔導師達が、島に集まってきたんです」
それが、キルディリア魔王国の歴史の始まりだったのだ。
「『HOME』にいた頃…。キルディリア魔王国の魔導師軍は、『HOME』の警戒対象に入ってた。アーリヤット皇王も危険視してたよ」
「…そうか…」
そうだろうな。
アーリヤット皇国は、魔導師排斥論者であるナツキ様の治める国だ。
当然、キルディリア魔王国のことも警戒対象に入っていただろう。
「でも、皇王がキルディリアにそれほど注意を向けていたとは思わない。彼はルーデュニア聖王国一点狙いだったから」
「あぁ…そうだな」
ナツキ様の眼中にあったのは、ルーデュニア聖王国だけだ。
ひたすら、この国だけを…フユリ様のことだけを…目の敵にしていた。
勿論、それはハクロとコクロ…。大天使ミカエルとラファエルによる強制的な洗脳のせいでもあるのだが。
ナツキ様が個人的な恨みを抱き、敵視していたのはルーデュニア聖王国のみ。
まさか、キルディリア魔王国が突然攻め込んでくるなんて…思ってもみなかったはずだ。
俺達でさえ、まだ信じられない思いのに。
「つまり、その国は魔導師の国なんだね。親魔導師国家なんだ」
と、令月。
「そうだ。ルーデュニア聖王国と同じ…。…いや、それ以上に魔導師の国だよ」
「ふーん。それで『魔』王国なんだね」
そういうことだ、すぐり。
その国名からして、魔導師に寛容な国なのだと分かる。
…いや、寛容、ってレベルではないな。
「マシュリさん…。キルディリア魔王国について、他には知っていますか?」
「いや…。僕が知ってるのは、キルディリアがルーデュニア聖王国以上の親魔導師国家で、魔導師軍という強力な国軍があることくらいだよ」
「そうですか…。では、僭越ながら私が説明させていただきますね」
シュニィは、そう前置きしてから。
「現在キルディリア魔王国がある島は、元々無人島だった島なんです。不毛の土地で、水源も植物もなく、動物も住んでいなかった場所だったそうです」
と、説明を始めた。
「そんなとこに、なんで国が出来たの?」
「それは…何百年前も前のことですが、不毛な島故に、罪人の流刑地に選ばれてしまったからです」
「あー成程ねー。島流しの場所だったワケね」
「はい」
現代では、ほとんど有り得ない刑罰だが。
大昔では、そういう罰もあったのだ。
そして、不毛な島である現在のキルディリア魔王国が、その刑罰の場所に選ばれた。
「島に送られたのは魔導師でした。昔は、今ほど魔導に対する理解が進んでいませんでしたから。反魔導師国家では、ただ魔導師であるというだけで、国家反逆罪として捕らえられてしまって…」
「…そんな…」
心根の優しい天音は、その悲しい話を聞いて心を痛めているようだった。
…でも、実際は、捕らえられて島流しにされるくらいなら、まだマシだったのだ。
中には…魔導師というだけで、問答無用で殺されてしまった者も多くいた。
ルーデュニア聖王国では有り得なかったであろう残虐な行為が、諸外国では多くあったのだ。
「そうして全国各地から、祖国を追われた魔導師達が、島に集まってきたんです」
それが、キルディリア魔王国の歴史の始まりだったのだ。


