神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

ジュリスとベリクリーデの協力によって、無事にキルディリア魔王国を出国した俺とシルナ。

帰りも船旅だったが、ジュリスの幻覚魔法のお陰で、正体がバレることはなかった。

ありがとうジュリス。すべてお前のお陰だ。

お前と、そしてベリクリーデのお陰だよ。

それでも、船に乗っている間は、ずっとヒヤヒヤしていた。

相変わらず、キルディリア魔王国近海は酷い揺れだった。

だけどこの時ばかりは、船酔いを感じる暇もなかった。

行きよりも帰りの道のりの方が、体感的には速いらしいのだが。

俺にとっては、帰り道の方がずっと長く感じた。

ちなみにシルナは、老体ゆえ、やはり船酔いが堪えたらしく。

ようやく、ルーデュニア聖王国に辿り着くなり。





「はぁ〜…。疲れた…」

シルナ、ぐったり。

…俺も疲れたよ。

身体的に、いや精神的にな。

いつ正体がバレるかって…。気が気じゃなかった。

だけど、ジュリスの幻覚魔法のお陰で、無事に帰ってくることが出来た。

今頃、キルディリア魔王国は大わらわだろうな。