神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

しかし。

問題は、10分足らずで起きた。

「…っ、また分かれ道…」

ようやく目が暗闇に慣れてきて、少しは歩きやすくなったのに。

隠し通路は進むに従って、より複雑に入り組んでいて。

今、ここが何処なんだか、上がってるのか下ってるのか、それさえ分からなくなってきた。

まさか、こんな迷宮みたいになっているとは…。

これはまずいぞ。

このままじゃ、引き返す道も分からなくなる。

最悪、この地下通路で野垂れ死に…なんてことなったら…。

…考えたくはないな。そんなことは。

「私達、今何処に向かってるんだろう?」

「分からない。…まずいな」

「うん、まずいね」

折角隠し通路を見つけたのは良いが、これ以上進むのは危険だ。

「やっぱり、これ以上迷う前に引き返し…」

俺がそう提案しようとした、その時。

「あ、ちょっと待って…今」
 
突然、ベリーシュが声をあげた。

「?ベリーシュ?」

「…」

返事はなく、代わりに。

ベリーシュは、その場にふらりと倒れ込みそうになった。 

俺は慌てて、その身体を抱き、支えた。

「ベリーシュ、どうした?大丈夫か!?」

「…」

「おい!しっかり…」

「…ほぇ?」

ほぇ?

ベリーシュは、ぱちっと大きな目を開けて。

じー、っとこちらを見つめていた。

…あれ?これは、ベリーシュじゃなくて…。

「ふっかーつ!」

「うわっ」

突然ベリーシュが、いや、ベリクリーデが叫んだ。

ふ、復活って…お前…。

「正義の味方ベリクリーデ、華麗に参上」

「…お前、それ何処で習った?」

「ジュリス、起きたよ。ふわぁ〜…。よく寝た…」

間違いない。

この身体の中で、ずっと眠って休んでいたベリクリーデが、目を覚ました。

表に出ていたベリーシュの人格と入れ替わって、ベリクリーデの人格が戻ってきたのだ。

まさか、こんなタイミングで目を覚ますとは。 

まぁ良いけどさ。ちゃんと目を覚まして戻ってきたんだから。

しかも、元気そうだ。

お前、嫌なことは眠って忘れるタイプか?

何にせよ、戻ってきたから良い。

「お帰り、ベリクリーデ」

「うん、ジュリス。ただいま」

またお前が戻ってきてくれて良かったよ。

…まぁ、タイミングを考えろよ、とは思うけど。

「それでジュリス、ここ、何処?」

「…えーと…」

ずっと眠っていたらしいベリクリーデ。今がどういう状況なのか、全然分かっていないらしい。

…まずは、そこから説明しなければならないようだ。