神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

これなら、俺の求める情報をあっさりと吐くかもしれない。

「あの二人がいる部屋の道を教えろ」

「え、そ、それは…」

恐怖に怯えていながらも、さすがに、その情報を吐くのは不味いと思ったのか。

返事に窮したようだが…残念だったな。

今の俺は、誰が相手だろうと、情けや容赦をくれてやるつもりはない。

徹底的に行かせてもらうぞ。

「さっさと吐け。…殺すぞ」

我ながら、非常に過激な言葉だ。

俺は、本気の殺意を滲ませていた。

このくらいの脅しにビビるワケないよなぁ?

常日頃、お前達魔導師が、青カード持ち…魔導師じゃない人々にしている、酷い差別と迫害を思えば。

杖の先端を押し当てて脅すくらい、なんだって言うんだ。

それに、脅しの成果は上々だった。

「わ、分かった。話す、話すから…」

意外とあっさり陥落したな。

「そ、そこの…古井戸の奥に…」

「…古井戸?」

王城兵が指差す先に、板切れで蓋をされた、今はもう使われていないであろう、古びた井戸があった。

…なかなか貫禄のある井戸だ。

なんか出てきそう…。

「王宮の中に繋がる…か、隠し通路が…」

「…確かな情報だろうな?」

「ほ、本当だ!嘘は言わない。だから、は、離し…」

その怯えきった表情は、演技などではなかった。

本気で追い詰められて、本気で俺に殺されると怯えて、情報を引き渡すことで何とか命乞いしようとしている。

…こいつ、非魔導師相手には、あんなに偉そうな態度をしてる癖に。

魔導師が相手だと、途端にコレかよ。

臆病者め。

「…ちっ…」

腹が立って、思わず舌打ちしてしまったが。

だけど、殺したいほど憎んでる訳じゃない。

例えこいつが非魔導師を殺したとしても、俺はこいつを殺すことはしない。

代わりに、手刀を首の後ろに叩き込んだ。

「ぐぇっ…」

潰れたカエルみたいな声を出して、その王城兵は一瞬にして気絶した。

そのまま、そっと生け垣の隙間に横たえた。

こうして隠しておけば、少しは時間稼ぎになる。

朝になれば、多分自分で目を覚ますだろう。

「…で、あの古井戸…だったな」

「信じるの?さっきの情報…」

「今は、そうするしかないだろう?」

「…そうだね」

俺とベリーシュは、先程王城兵が指さした古井戸に向かった。

まずは、打ち付けられている木の板を引っ剥がさないとな。

「ベリーシュ、ちょっとそっち持ってくれるか」

「うん」

二人で、せーの、で木の板を引き剥がす。

幸い、相当長く放置されていたのか、それとも、わざとそうして外しやすくしているのか。

木の板を打ち付けている釘は錆びていて、二人で力を入れると、ベキッ、と音を立てて、あっさりと外れた。

木の板の下から、深くて底の見えない井戸が現れた。

…これは、なかなか雰囲気があるな。