神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

俺もシルナも、あんまりびっくりして、言葉が出なかった。

向こうもびっくりしていたようで、しばらくススだらけの顔で、真ん丸に目を開いてこちらを凝視。

…だが。

「やったー、着いた。冒険、成功〜」

「…」

約1名、まったく狼狽えることもなく驚くこともなく、両手を挙げて、万歳して喜んでいた。

…ベリクリーデである。

ベリクリーデが、暖炉から出てきた。

そして、同じく暖炉から這い出して、ススだらけでこちらを凝視しているのは。

そのベリクリーデの相棒である、ジュリスだ。

ジュリスと、そしてベリクリーデが暖炉から出てきた。

そりゃもうびっくりして、声が出なかった。

「…?…??何で止まってるの?」

ベリクリーデが、不思議そうに首を傾げた。

…いや、そりゃびっくりして制止もするだろ。

お前ら…何で、ここにいるんだ?

「…?…あ、見てジュリス。おやつだー。美味しそう」

ベリクリーデが、テーブルの上に置いてあった糠漬けを見つけた。

おやつって言うか…。…糠漬けなんだけど。

「ねぇ、これ食べても良い?」

「え?あぁ、うん…どうぞ…?」

「わーい。ありがとー。…ぽりぽり」

…食べてる。

突然暖炉から出てきたベリクリーデが、すぐりの糠漬けを食べてる。

「美味しー」

…それは良かったな。

「ジュリスもどうぞー、はい」

「ちょ、無理矢理口に入れるな。…って、これ美味いな…」

「でしょー?」

良かったな、すぐり。ジュリスとベリクリーデにも褒めてもらえたぞ。

…って、そうじゃなくて。

「…ぴ、ぴゃぁあぅもげっふ」

「馬鹿、シルナ。叫ぶな!」

一寸遅れて、おばけでも見たかのように叫びそうになったシルナの口を、

俺は、両手で塞いで叫ぶのをやめさせた。

何が何だかワケ分からないけど、とにかく人が集まっちゃヤバいってことだけは分かる。

「落ち着け、頼むから。叫ぶんじゃない」

「は、はぁはぁ。わ、分かった。えぇっと、チョコレートが一つ、チョコレートが二つ…」

羊を数えるノリで、チョコの数を数えるな。

「…よし、落ち着いた!」

それで落ち着くのかよ。

あぁ、もうこの際そんなことはどうでも良い。

「お前ら…本物、だよな?本物のジュリスと…ベリクリーデ、だよな?」

偽物じゃないよな?幻でもないんだよな?

「本物だよ…一応な」

「本物のベリクリーデとジュリスだよー」

「…」

ほ…本物なのか。

それは良かった…って。

…「良かった」で済ませて良いことじゃないだろ。