神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

考えるも何も、俺の中ではとっくに答えが出てるんだけどな。

「何度も言ってるだろ。どんなに誘われても、俺がルーデュニア聖王国を裏切ることは有り得ない」

「…。…シルナ様も、同じ意見ですか?」

「そうだね」

シルナも即答した。

当たり前だ。他の選択肢があるものか。

それなのに今、俺達がまだ、この国にいるのは。

イシュメル女王がルーデュニア聖王国に拳銃の銃口を向けて、構えているからだ。

俺達が断れば、今度はルーデュニア聖王国に戦争を仕掛ける。

その脅しのせいで、俺達は国に帰れない。

「いい加減、諦めてくれ」

何ヶ月、何年、俺達をこの国に引き留めようとも。

決して、ルーデュニア聖王国に背を向けることはしない。

「俺達は戦争に賛同なんかしない。この国に移り住むこともない」

「ならば、どうすれば移住してくださるのですか?」

「どうやったって無理だ」

何を与えられても、何を奪われたとしても。

非魔導師を差別し、同じ人間なのに平気で迫害する。

そんな国に移り住むなんて、冗談じゃない。

「俺は、魔導師もそうじゃない人も、互いに手を携えて、助け合っていける国で暮らしたい」

勿論、シルナや、仲間達も一緒に。

それが俺の理想だ。

この国で、どんなに特権階級になったって。

こんな居心地の悪い国で億万長者になったって、何が嬉しいものか。

だったら、ホームレスになって諸国を放浪する方がまだマシだ。

「どうあっても、受け入れてもらえませんか」

「あぁ。嫌だね」

「…そうですか」

まだ強情を張るのか、とばかりに小さく溜め息をつくシディ・サクメ。

強情で悪かったな。

「どうだ。諦めて、俺達を返してくれる気になったか?」

「いいえ、そのような指示は受けておりません」

あっそ。

そっちも負けないくらい強情じゃないか。良い勝負だな。

「返事は急ぎません。ゆっくり考えてください」

「もう、充分考えたっての」

どれだけ考えても、答えが変わることはない。

…しかし。

「…イシュメル女王陛下は、はいつでも、ルーデュニア聖王国と戦争をする用意があります」

「っ…!」

「そこのところも、忘れずに考慮してください」

銃口を突きつけていることを忘れるな、と。

シディ・サクメは、そう釘を刺してきた。

…畜生。…分かってるっての。