「馬鹿だねー。そいつら」
というのは、すぐりの意見である。
「いくら他人が優秀なのが羨ましくたって、いくら外側だけ真似たって、中身まで同じになれるワケないのに」
「…すぐり…」
…すぐりが言うと、言葉の重みが違う。
だけど、実際その通りだ。
校舎を真似て、カリキュラムまで同じにしたって…。
決して、第二のイーニシュフェルト魔導学院にはなれない。
なれない…はずなのに。
「そこまでして、キルディリア魔王国は何をしたかったの…?何で、イーニシュフェルト魔導学院の真似をして…」
「…キルディリア魔王国は、優れた魔導師を育てる学校を作りたかったんだ。ルーデュニア聖王国の、イーニシュフェルト魔導学院のように」
「そんな…そんなことの為に…」
…そんなことの為に、躍起になってたんだ。
本気でな。
「カリキュラムを模倣するまでは、まだ理解が出来ます。しかしそれなら、わざわざ当てつけのように校舎まで真似る必要はないでしょう」
と、イレース。
「私もそう言ったよ…。あまりに驚いて。…だけど、向こうは…キルディリア魔王国の代表者は、徹底してイーニシュフェルト魔導学院の環境を再現したかったんだ、って…」
「馬鹿らしい。校舎を同じにすれば、中にいる生徒まで同じになるとでも思いましたか」
思ったんだろうよ。きっと。
そんなはずないって、少し考えれば分かるはずなのに…。
「その上で、私に色々と質問をしてきた。どんな教師を雇えば良いのか、どんな生徒を集めれば良いのか…。教科書や、実習用具はどんなものを使うのかって、それはもう…根掘り葉掘り…」
当時のことを思い出しながら、シルナは浮かない顔だった。
あの時シルナが、「尋問を受けてる気分だった」と語っていたのを覚えている。
「答えられる範囲で答えたけど…。…凄くしつこかったよ」
「…そうですか…」
そんなにイーニシュフェルト魔導学院を真似たいなら。
まずは、学院長室に大量のチョコレートを集めるところから始めるんだな。
話はそれからだ。
「それじゃ…そんなにたくさん質問ばかりされてたから、二週間も帰れなかったんですね」
「いや…それは違うんだ、天音君」
「え?」
本当はシルナは、当初の予定通り、一週間で戻るつもりだったらしい。
しかし、それが出来なかったのには理由がある。
「ちょっと…。…ね、あんまり嬉しくないことが…」
当時を思い出して、憂鬱な気分になってしまったのか。
またしても、どんよりと言い淀むシルナ。
そんなシルナを、シュニィは心配そうに見つめ。
それから、俺の方をちらっと見た。
「私が代わりに言っても良いですか」と。
…シルナが話したくないのは分かるが、でも今は、イレースの言う通り、緊急事態。
話しておいた方が良いだろう。
シュニィに頷き返すと、シルナの代わりに、当時を知るシュニィが話してくれた。
「学院長先生は、そのキルディリア魔王国の『イーニシュフェルト魔導学院』の学院長になってくれないかと、スカウトされたんだそうです」
「…!?」
「ひいては…ルーデュニア聖王国を捨てて…キルディリア魔王国の国民にならないかと…」
…思い出しただけでも、はらわたが煮え繰り返る思いだ。
というのは、すぐりの意見である。
「いくら他人が優秀なのが羨ましくたって、いくら外側だけ真似たって、中身まで同じになれるワケないのに」
「…すぐり…」
…すぐりが言うと、言葉の重みが違う。
だけど、実際その通りだ。
校舎を真似て、カリキュラムまで同じにしたって…。
決して、第二のイーニシュフェルト魔導学院にはなれない。
なれない…はずなのに。
「そこまでして、キルディリア魔王国は何をしたかったの…?何で、イーニシュフェルト魔導学院の真似をして…」
「…キルディリア魔王国は、優れた魔導師を育てる学校を作りたかったんだ。ルーデュニア聖王国の、イーニシュフェルト魔導学院のように」
「そんな…そんなことの為に…」
…そんなことの為に、躍起になってたんだ。
本気でな。
「カリキュラムを模倣するまでは、まだ理解が出来ます。しかしそれなら、わざわざ当てつけのように校舎まで真似る必要はないでしょう」
と、イレース。
「私もそう言ったよ…。あまりに驚いて。…だけど、向こうは…キルディリア魔王国の代表者は、徹底してイーニシュフェルト魔導学院の環境を再現したかったんだ、って…」
「馬鹿らしい。校舎を同じにすれば、中にいる生徒まで同じになるとでも思いましたか」
思ったんだろうよ。きっと。
そんなはずないって、少し考えれば分かるはずなのに…。
「その上で、私に色々と質問をしてきた。どんな教師を雇えば良いのか、どんな生徒を集めれば良いのか…。教科書や、実習用具はどんなものを使うのかって、それはもう…根掘り葉掘り…」
当時のことを思い出しながら、シルナは浮かない顔だった。
あの時シルナが、「尋問を受けてる気分だった」と語っていたのを覚えている。
「答えられる範囲で答えたけど…。…凄くしつこかったよ」
「…そうですか…」
そんなにイーニシュフェルト魔導学院を真似たいなら。
まずは、学院長室に大量のチョコレートを集めるところから始めるんだな。
話はそれからだ。
「それじゃ…そんなにたくさん質問ばかりされてたから、二週間も帰れなかったんですね」
「いや…それは違うんだ、天音君」
「え?」
本当はシルナは、当初の予定通り、一週間で戻るつもりだったらしい。
しかし、それが出来なかったのには理由がある。
「ちょっと…。…ね、あんまり嬉しくないことが…」
当時を思い出して、憂鬱な気分になってしまったのか。
またしても、どんよりと言い淀むシルナ。
そんなシルナを、シュニィは心配そうに見つめ。
それから、俺の方をちらっと見た。
「私が代わりに言っても良いですか」と。
…シルナが話したくないのは分かるが、でも今は、イレースの言う通り、緊急事態。
話しておいた方が良いだろう。
シュニィに頷き返すと、シルナの代わりに、当時を知るシュニィが話してくれた。
「学院長先生は、そのキルディリア魔王国の『イーニシュフェルト魔導学院』の学院長になってくれないかと、スカウトされたんだそうです」
「…!?」
「ひいては…ルーデュニア聖王国を捨てて…キルディリア魔王国の国民にならないかと…」
…思い出しただけでも、はらわたが煮え繰り返る思いだ。


