神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

「…」

あんまりびっくりして、俺は固まってしまった。

そこには、二人の人物の写真が。

シルナ・エインリーだ。

シルナ・エインリーと、羽久・グラスフィアの写真。

二人が、何やら学校の中を視察(?)しているような写真。

何でこの二人の写真が、キルディリア魔王国の新聞に載ってるんだ?

おまけに、驚いたのはそれだけじゃない。

その新聞記事の見出し。

『イーニシュフェルトの聖賢者 キルディリアに亡命』と、太字で記されていた。

二度びっくり。

「…これ、どういうことだよ…!?」

あまりにも意味が分からなくて、俺は思わず新聞を握る手に力が入った。

しまった。新聞がぐちゃぐちゃに。

「分からない…。でも、この二人…」

「俺達の知ってる…シルナ・エインリーと羽久・グラスフィアだよな?」

「うん…。そう書いてあるね」

俺よりもベリーシュの方が、ずっと冷静である。

「キルディリアに…亡命?あいつら、何で…!?」

ルーデュニア聖王国を見限ったのか?

それに、守るべきイーニシュフェルト魔導学院さえ捨てて、キルディリア魔王国に鞍替えしたと?

どうして。あいつらに限って、そんなことが。

俺は思わず狼狽えてしまったが、ベリーシュは。

「落ち着いて、ジュリス」

「あ、お、おぉ…」

ごめん。つい取り乱して。

「まだ事情が分からないのに、早合点するのは良くないよ」

「そ…そうだな、ごめん…」

まずは、この新聞記事をちゃんと読んでみよう。

…その記事によると。

シルナ・エインリーと羽久・グラスフィアは、この度のキルディリア魔王国VSアーリヤット皇国との戦争に強く賛同。

共に反魔導師国家のアーリヤット皇国を打ち倒そうと、共闘する為にキルディリア魔王国にやって来たと。

そして、キルディリア魔王国の女王イシュメル女王は、二人を歓迎し。

キルディリア魔王国の上級魔導師として、二人を受け入れることを決めたという。

亡命と言うより、それはただの移住だな。

で、この新聞記事に載っている写真は。

シルナ・エインリーと羽久・グラスフィアが、キルディリア魔王国1の国立魔導師学校を視察に訪れた時の写真…らしい。

俺は、まじまじとその写真を見つめた。

…これ、本物なんだろうか?

カラー写真だったら、もっと分かりやすかったんだろうが…。

でも見たところ、間違いなくあの二人の顔のように見える。

合成した…とかじゃないよな?

キルディリアならやりかねん、と思わせてくるのが怖いな。

「この新聞記事が真実なら…あの二人は今、キルディリア魔王国に居る、ってことになるな」

「そうなるね」

「…だけど、この記事はどう考えても嘘っぱちだろ」

「私もそう思う」

…だよな?