神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

その後。

俺は、ぬるくなってしまったアイスティーの代わりに。

町中の自販機で、ペットボトルの紅茶を2本、買ってきた。

最初からこうすれば良かった。

俺達はそれを、不良みたいに道端のガードレールに腰掛けながら飲んだ。

そこら辺の公園にでも行けば良いじゃないか、って?

行こうと思ったよ。でも、そこら辺の公園でさえ、貼り紙がしてあるんだ。

「青カード立ち入り禁止」ってな。

腹が立ったから、もう道端で飲むことにした。

文句なら、公園に立ち入ることさえ許さない、この国の偏屈な決まりを作った女王陛下に言ってやってくれ。

「…何だかこの国、平和だね」

「あ?」

「今、戦争中なんだよね?」

…そういえば。

現在のキルディリア魔王国は、アーリヤット皇国と戦争をしているのだ。

戦時中というと、もっとピリピリした空気になっているはずだが…。

…そんな空気は、全然ないんだよな。

さっきのガキ共も、とても戦時下の子供とは思えない堕落っぷりだったし。

国中まとめて、平和そのものって感じ。

本当に戦争やってるのか?

「他国の心配なんざしてやる義理はないが…。…こんなんで、戦争に勝てるのか?」

「どうなんだろう…。国を出てから、戦況がどう変わってるのか、確認してないから…」

「そうだな…」

ここいらでもう一度、キルディリア魔王国とアーリヤット皇国の戦況の状態を把握したいな。

「よし。ちょっとそこらの売店で、新聞でも買ってくるよ」

「うん」

幸い、新聞を買うくらいなら、魔導師証明書の提示は求められなかった。

キルディリア魔王国の新聞社各社の新聞を、それぞれ一部ずつ購入。

ベリーシュと二人並んで、それらを確認してみることにした。

そして。

俺達はその時、とんでもない事実を知ることになる。

新聞の1面には、それぞれ、アーリヤット皇国との戦況が記されていた。

キルディリア魔王国軍は快勝を続けており、徐々にアーリヤット皇国国軍を追い詰めているとか…。

とはいえ、戦争中の報道は、あまり当てにしない方が良い。

ましてや、キルディリア魔王国は戦争を仕掛けた側だからな。

例え戦況が逼迫していたとしても、おいそれと「我が国は劣勢です」なんて報道出来るはずがない。

どうやらキルディリア魔王国の魔導師達は、かなりプライドが高いみたいだから、余計にな。

新聞の内容は、かなり偏っていると思って良いだろう。

どの新聞にも、「戦争は順調に進んでいる」という記事しか載っていなかった。

ふーん…。まぁそういうことにしておいてやるよ。

さすがに、アーリヤット皇国側もそろそろ反撃に出ているはずだが。

あの国王が、そう簡単にキルディリアに屈するはずが…。

「…ジュリス。これ、どういうことだろう」

「うん?」

真剣な眼差しで、新聞を開いていたベリーシュが手を止めた。

「何か気になる記事でもあったか?」

「これ」

と言って、ベリーシュが見せてくれたのは、新聞の2面。

そこには、見覚えのある人物の写真が掲載されていた。