神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

5分くらい待って、俺はレモンとストレート、2種類のアイスティーを受け取った。

紙コップに入れられたそれを、両手に持って。

「ベリーシュ、おまた…せ、」

急いで、店の外に出たところ。

俺はそこで、とんでもない光景を目にした。

…ベリーシュが、石を投げられていたのだ。

子供達に。

「やーい。『青カード』め。せいばい!せいばい!」

「ムノウシャめ!ムノウは出ていけ!」

多分、幼稚園児か、小学校低学年くらいだろう。

四人ほどの子供達…いずれも、銀色の証明書を首から下げている…に。

親指から、子供の握り拳くらいある石を、キャッチボールでもするかのような気軽さで、

遊ぶみたいに、ポイポイとベリーシュに向かって投擲していた。

ベリーシュは反撃しようとはせず、両手で頭や顔を庇いながら、必死に顔を逸らして耐えていた。

俺は、その異様な光景に、一瞬、何も言えずに立ち尽くした。

ベリーシュ…いや、青カードを持つ非魔導師に対して、子供が石を投げつける。

その光景だけでも、充分に有り得ない、異常なことだった。

だけどそれより、俺が信じられなかったのは。

その子供達の周囲にいる大人が、誰一人、子供達を止めようとしなかったことだ。

ベリーシュが石を投げられているのに、誰もそれを咎めようとしない。

気づいていない訳じゃない。ちらりとこちらを一瞥する者もいる。

それなのに、何も言わずに通り過ぎる。

…まるで、よくある日常の一コマを見たかのように。

これが当たり前だと?非魔導師は、青カード持ちは、こんな扱いを受けるのが当然だと?

ホテルにも泊まれないし、3等車にしか乗れないし、店内で飲食することも出来なくて。

それどころか、通りすがりのクソガキ共に石を投げられても、文句の一つも言えないのが当たり前だと?

…ついに。

ずっと、何も言わずに頭を庇い、耐えていたベリーシュだが。

クソガキの一人が投げた、大きめの石が。

頭を庇っていたベリーシュの左の手の甲に、ガツンと直撃した。

「っ…」

痛みのあまり、思わずベリーシュが顔を歪めるのを見て。

ついに、俺の怒りが沸点に達した。

「お前…。お前らぁぁぁっ!!何やってんだ!!」

俺は叫びながら、クソガキ共に駆け寄った。

クソガキ共は、突然怒鳴られたことにびっくりして、手を止めてこちらを見た。

人様に石を投げるなんざ、お前ら一体、どういう敎育を受けてるんだ。

親の顔が見てみたい。

「あ…ジュリス…」

「…!ベリーシュ…!」

俺は見てしまった。

石が直撃したベリーシュの手の甲が、青く腫れ、血が滲んでいることに。

こ、の、クソガキ共め。

こういう大人を舐め切ったガキは、一発、いや二発、いや三発くらいはゲンコツをくれてやった方が良い。

…え?子供に体罰なんて駄目だ、って?

甘っちょろいこと言ってんじゃねぇ。

ぶん殴らなきゃ分かんないガキもいるんだよ。